横浜市立霧が丘小学校(敦賀谷誠校長)では、弊紙昨年5月号でモニター募集した「ICタグシール&発表ツール」を活かし、校内サーバに用意されたデジタルコンテンツを利用した家庭科の授業が行われた。授業者は横山美明先生(6年1組担任・情報教育担当)。当日は図書館とPC教室を兼ねた「学習情報センター」で授業を実施。センターにはPC40台、プラズマ電子情報ボードなどが設置されている。
「野菜の切り方はカードを重ねれば映るよ」
横山先生が「ジャガイモの拍子木切り」が映ったカードをリーダーにかざすと、電子情報ボード上に拍子木切りの切り方の映像がぱっと映し出される。「おお、すごい」「いまどきだ」と児童らから歓声が上がった。
この教材は、ICタグを簡単に印刷、シールラベル化できる「ICタグシール&発表ツール」を活用して横山先生が自作したもの。校内サーバに収録されたデジタルコンテンツを「知りたいときにすぐ見られる」よう、コンテンツへのショートカット情報をICタグに埋め込みシール化し、カードを作成した。「手に取りリーダーにかざすだけなので直感的で馴染みやすいですね。カードなので、PCやリモコン操作が苦手だったり、細かい操作が難しかったりする人にも扱いやすい。カードには画像やイラストを貼り付けられるため絵や色だけで直感的に識別できますし、ユニバーサルデザインとしても活用が期待できると思います」
翌週の調理実習を控え、子どもたちは栄養のバランスを考えながらお弁当のメニューや材料、手順、所要時間を考え調理実習カード「お弁当作りをしよう」をまとめた。授業の中盤には、レポート作成に集中する児童に「メニューが決まったら野菜の切り方も考えて」と声をかけると、早速「ニンジンの拍子木切り」についてカードをリーダーにかざして切り方を確認する児童の姿が見られた。
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後日行われた調理実習では、調理室にノートPCとカードリーダーセットを持ち込み、実習中にも調理方法を確認できるようにした。
「手が濡れる家庭科の実習では、マウスやキーボードは扱いにくい。その点プラスチックで覆われたこのカードなら、濡らしても平気で使いやすいですね。一度作ってしまえば半永久的に使えるのも魅力。失くしてしまっても作り直しが可能です」と横山先生は述べる。
「ICタグシール&発表ツール」は、大日本印刷株式会社(北島義俊社長 本社東京都)とブラザー工業株式会社(平田誠一社長 本社愛知県)が昨年から製品化に向け共同開発を行っている教育支援ツール。デジタルコンテンツなどの情報をICタグシールに埋め込み印刷できるため、フラッシュカードや写真、模造紙などのアナログ素材にシールを貼り付けICタグ読み取り装置(リーダー)にかざせば、埋め込んだデジタル画像がPCや提示装置上で動き出す仕組みだ。