ハワイのK12、大学に学ぶ

ハワイ・インターネット教育セミナー98


 日本におけるインターネットやマルチメディアの教育利用の一助に−。「ハワイ・インターネット教育セミナー98」が8月5・7日、東京と京都で開かれ、ハワイの進んだ利用方法が報告された(主催=日本教育情報学会、後援=松下視聴覚教育研究財団)。
 ハワイはアメリカの中でも、インターネットの利用が進んでいる州。既に全校にインターネットが接続されそのうち60%は4〜6学級にネットワークが構築されている。学校数は6島に247公立校(幼稚園から高校まで含む)、生徒数19万人。全島が光ファイバー網で結ばれ、州教育局を介してすべての学校がWAN(広域ネットワーク)で結ばれている。
 5日の松下電器マルチメディア・センターで行われた東京セミナーでは、ハワイ州教育局情報・テレコミュニケーション部のケリー・コイデ氏とハワイ大学情報技術部のキャシー・ヤマシロヤ氏から、主にエレクトロニック・スクール(Eスクール)と、ハワイ大学の遠隔教育について報告があった。
 Eスクールは、幼稚園児から高校生までのバーチャルなスクール。現在高校向けに20コースが開設され、内容は応用微積分、上級コンピュータ科学の紹介、地球科学、宇宙科学、起業家精神などが開かれている。これらは、ビデオ教材、ビデオ会議、チャット、電子メールなどの技術を通じて提供されている。
 また、現職教師のための教育にも力を入れ、夏期研修セッションのオンライン・テストに合格した人には、「インターネット・ドライバーズ・ライセンス(インターネットの運用免許)」が交付されるという。
 印象的だったのは、教師の役割について「学習段階の賢人」の役割は過去のものになり、「学習者のそばにいてガイドすること」が期待されていると報告されていたこと。
 一方、ハワイ大学は、ハワイ全州に10のキャンパスを持ち、地理的・時間的障害を持つ。この障害を克服するため、テレビ会議システムを活用している。直接授業と遠隔授業の学習の理解度については、集中力、進度においても変わりがなく、むしろ遠隔授業の方が学習動機、学生同士の助け合いが高まる傾向が見られるという。

(教育家庭新聞98年9月5日号)