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フィンランドの教育を視察
フィンランド 高い英語力の背景
三重県立久居高校・英語科 平山欣孝教諭

平山教諭英語の授業(高校)はすべて英語で行うことになっているということですが、文法の説明で、必要だと思える部分では フィンランド語を使ったりする、という説明がありました。日本では、その程度のことでも、大まじめに議論をしているような気がします。

  法律で、クラスサイズは24人で、語学教育はその半分であることが法律で決まっているということでした。机の並び方は、4人ぐらいのグループを作っていました。

  諸外国の英語教師は、英語教育に専念しているので、一般的に英語のネイティブ(母国語話者)なのかと思えるほどの英語を話す達人であるというのが、私の今までの観察です。そして、そのような達人に教えてもらっている北欧の生徒が話す英語のレベルが高いのも道理です。この学校も進路指導は、授業を持たない専任の担当者がおり、その方がすべての生徒の進路相談を引き受けており、授業を担当する教員は授業に専念しています。また、生徒指導は、校長が行い、とても熱心であるというのが今回の視察旅行で強く印象に残っています。


 さて、見学した授業内容に目を向けると、シェークスピアの演劇を材料に教師が、次々と、内容理解の質問をしていき、生徒がそれに英語で答えていました。答えるのが英語かどうかを明記しているのが、日本の英語教師らしですね。

  シェークスピアの演劇と現代演劇の比較、演劇を効果的にする工夫など、そういう舞台裏の話も含めて、類似点や相違点について、これからの人生で、演劇鑑賞を10倍楽しくするために役立つような内容であり、同時に、英語の運用能力も高めることができるような授業だと思いました。

  その活動後、教師が過去に生徒をロンドンに引率して行き、劇場の発掘修復作業をした時の説明をしていました。これも、現実社会と授業との関連性を持つための、教師の工夫だと思いました。つまり、学ぶことには意味がある、という教育があり、そのため生徒も国民も納得して、満足しているということなのかなという感想です。

  生物の授業はフィンランド語でしたが、時々英語が聞こえてきました。オーストラリアからの留学生がいるので、時々英語で補足説明をするのだということでした。

  数学の先生は、授業で取り上げた数式問題の英語版をくれました。バイリンガル教育かと思って聞くと、海外の先生との交流で英語版も作ったからということでした。

  日本では、小学校の英語教育でも、まだ、不毛な論議を繰り返しています。フィンランドでは小学校でも英語教育を行い、実際、どの教科の教師たちの英語運用能力も立派なものであるようでした。

【2007年2月3日号】


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