平成16年の開学以来、「総合キャリア学部・総合キャリア学科」を開設し、学生のキャリア開発に主眼を置き、実務的・実践的な教育を提供する、LEC(れっく)東京リーガルマインド大学。子どもたちのキャリア形成に力を入れる同大学では、全国の高校や学習塾を対象としたキャリア教育等の出張講座を実施している。同大学教務部部長・反町雄彦氏に取り組み内容について話を聞いた。
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■ 日本初の株式会社大学であるLEC東京リーガルマインド大学では、従来の社会科学系の学問分野をキャリア(職業人生)という観点から再構築した「キャリア開発学科目群」(必修)を開設した。その狙いについて反町氏は「日本では職業能力を身につけるために大学へ行くという意識が弱いが、本学では実際に社会・企業で働く際に必要な能力を身につけさせたい。職業に直結した学問に取り組むという点ではアメリカの大学に近い」と語る。
生徒の目標に合わせた資格取得をはじめ、キャリア経営学・キャリア法律論などの「キャリア6科目」、キャリアに関する知識や方法論を習得させる「キャリア開発学演習」等を履修する中で、学生は就職スキルや専門職の能力を磨いていく。
また同大学では学内での教育ノウハウを活かす形で、同大学教員を全国の高校へ派遣する「キャリア教育セミナー」を展開。昨年度は153件、今年度は既に10月末の段階で255件を超える講座を開催した。
一口に「職業」と言っても、高校生がイメージできるものは、父親の仕事やメディアを通して知る職業など限られてくる。自身、弁護士資格を持つ反町氏は「高校1・2年生への派遣の要望が多いが、生徒たちの意欲の幅が広い。熱心に聞く子もいれば、仕方なく聞く子もおり工夫が必要。サラリーマンだけでなく、士業(弁護士、行政書士、公認会計士等の法律専門職や会計専門職)という働き方も知って欲しい」と講座への思いを述べる。
「講座内容は、生徒・先生・保護者の対象別に『キャリア教育』『進路全般』『進学』『資格』など約150項目、1回完結から通年のプログラムまで高校の要望を反映させて実施している。キャリア教育の予算が限られている学校も多いため、1回目は原則、無料に設定しました」
講座に合わせて作成した『職業興味チェックテスト』では、生徒の興味・関心を大きく11タイプに分類し、各タイプに関連する300あまりの職業を紹介。生徒は132の設問に回答、集計結果はグラフ化して、その時点での興味と関連する職業情報を把握できる。
「生徒向けの講座では『チェックテスト』を使った職業理解(進路全般)や、大学・学部選び(進学)、資格そのもののガイド、また教師向けでは『やる気にさせるコーチング』、『保護者との接し方入門』などが好評です」
さらに個々の職業について、その職に就くためにはどのようなルートがあるか、またその職業人生の全体像、関連する職業やキャリアアップの方法等を紹介するWebサイトも開設した。今後は保護者向け講座の充実にも力を入れていく方針だ。
職業興味チェックテスト
http://www.lec.ac.jp/syokutest/
(聞き手 吉木孝光)
【2006年12月9日号】