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キャリア教育どう取り組む -16-
海外インタンーシップの橋渡し
−アイセック中央大学委員会3年 藤田 健介さん

 1948年の設立以来、現在91の国と地域で800以上の大学に委員会を持つAIESEC(以下アイセック)は、学生が主体となり海外インターンシップ事業を展開するNPO法人だ。国内ではアイセック・ジャパン(千代田区)として、24の大学が登録。今年10月、「キャリアデザイン」をテーマとしたセミナーを開催する、アイセック中央大学委員会・藤田健介さん(同大3年、事業執行責任者/人財戦略担当)に話を聞いた。

 世界各国にネットワークのあるデータベースを活用して、各委員会が登録したインターンシップ候補生と受入企業のマッチングを行い海外インターンシップを成立させるアイセック。加盟する各委員会の活動内容は、団体を支援するスポンサー探しやインターンシップの受入企業の開拓、契約書の締結など実に幅広い。

 「1件のインターンシップを成立させるために、条件の合うリストへ100通のEメールを送っても、そのうち返信は3割程度、前向きな返事となると10件程のときもあります」と藤田さんはマッチング作業の難しさを説明する。

 企業が学生1人を2か月間受け入れると、研修費や手数料、人件費などを合わせて、50万円近い費用が発生するため、送り出す側の委員会では面接等の審査も実施されている。

 「インターンシッププログラムに参加する学生と受入企業の両方に価値を感じてもらわなければアイセックの社会的存在意義はありません。自己満足ではなく、『責任』や『顧客満足』を高めていかなければいけないのが、他の多くのサークル活動とは異なり、やりがいもあります」そう活動の魅力を語る藤田さんだが、一方でここ2年間の受け入れ実績が0件まで落ち込んだ同大学委員会では組織経営の見直しに着手。新たな取組みの一つとして今年10月には「キャリアデザイン」をキーワードにしたセミナー「ここから始めるキャリアデザイン〜海外を夢見て〜」を開催する。

 「確かな目的もなく海外インターンシップを希望する学生もいますが、『目的』としてではなく自己実現のための『手段』としてインターンシップを活用して欲しい」

 そこで今回のセミナーでは、従来の海外インターンシップ体験の紹介ではなく、自己分析を行なうワークショップや、国際ビジネスの経験を有する社会人が登壇するパネルディスカッションなどを予定。藤田さんはその狙いを「成長意識はあるが、具体的に将来何になりたいのか、また今の自分に何が必要なのかがわからず、もがいている学生が多い。そうした学生に刺激やきっかけを提供できるセミナーにしたい」と語る。

 受入先やスポンサーなどの企業や加盟する他大学の学生との交流も盛んなアイセック・ジャパン。そうした環境の中で活動する藤田さんは、自身のキャリアについて「これまで様々な出会いや経験によって考え方も変わってきました。今は一つ一つの機会を大切にしながら自分にないものを吸収して社会に通用する力を身につけていきたい」と教えてくれた。同セミナーは10月14日、中央大学多摩キャンパスにて開催される予定だ。

(聞き手 吉木孝光)

【2006年9月9日号】


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