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キャリア教育どう取り組む -11-
受験学力だけでなく”生きるための学力”を
−栄光ゼミナール高等部navio自由が丘校室長 大久保剛氏

 昨年4月、高校生の将来設計を総合的にサポートするため、高校1、2年生を対象に「キャリアデザインプロジェクト」を開始した、栄光ゼミナール高等部navio(以下ナビオ 運営・株式会社栄光)。キャリア教育を行なう学習塾として先鞭をつけた同社の取組みについて大久保剛氏(ナビオ自由が丘校室長)に話を聞いた。。

塾継続率9割を支えるキャリア指導
 昨年から開始されたキャリアデザインプロジェクトは現在、ナビオに通う全ての高校1、2生(約3000人)が受講している。全体指導が学期に1度(年3回実施)行なわれ、段階に応じて「10年後の私を考える」ことを手始めに、興味のある職業の洗い出しや、見えてきた将来像を実現するための学習計画の設計など、生徒は計6枚のキャリアデザインシートを作成する。

  同シートは、月に一度行なわれるナビゲーション担当職員やチューターとの1対1での学習進捗度チェックにも活用。将来の夢や目標から逆算して、自らの将来設計と学習活動を結び付けられるよう工夫されている。

  「私達は10年以上前から、生徒一人一人の人生づくりをナビゲートする『ライフナビゲーション』を理念に学習塾を運営してきた。乳幼児保育の支援から小・中・高校生の受験指導までの幅広い実践を通して、同プロジェクトが生まれたのも、ごく自然な流れだった」。
  難関大への合格数を前面に押し出して生徒を呼び込む学習塾や予備校がある一方、ナビオの狙いは「勉強する意味を生徒の中に内在させる」(大久保氏)ことで、生徒一人一人の学力を伸ばすことにある。

  「学習塾として、生徒の成績を上げる、第一志望へ合格させることは当然の役割。しかし、ただ難関大に合格させるだけで指導が完結するとは考えない。従来どおりに画一的な目標(難関大への合格)を掲げている塾も多いが、勉強は本来、将来の夢や目標の実現に向けて取り組むものだ。夢や目標をもつことで,学ぶことは喜びとなる。その意味で同プロジェクトは勉強の動機付けを行ない、生徒の日ごろの学習活動を支えている」。

  大学受験を前に、学習塾や予備校に通う高校生年代は途中で塾を移る割合が高いが、ナビオに通う高校1年生から3年生の継続率は9割を超えるという。
  「同プロジェクトの手ごたえは継続率の高さからも感じている。企業として生徒に続けて通ってもらうことは大切だが、生徒にとっても通学先の変更は勉強の能率が悪いだけでなく、学習意欲にも影響して好ましくない。将来の夢や目標に裏打ちされた学力は、それだけ強固なものだと感じている。それは受験だけでなく将来生きていくための学力になってくれると思う」。

  ナビオは保護者・生徒からの支持を受け、今後もキャリアデザインプロジェクトを積極的に継続・発展させる構えだ。

(聞き手 吉木孝光)

【2006年4月8日号】


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