ビル・ゲイツ氏、日本の生徒と1問1答
――こねっと・セミナー――
●すべての基本は読書
●将来の学校はマルチメディア体験
六月十九日、来日していたマイクロソフト社会長のビル・ゲイツ氏は、「2001年未来基金」の発表後、こねっと・セミナーに出演。パソコンやネットワーク社会の展望について講演した後、全国のこねっと・プラン参加校の生徒の質問に答えた。以下はその一問一答である。
香川県立志度高等学校
Q 将来コンピュータにどのような能力が備わると思いますか。見たり聞いたり学習したり、するような能力もできると思いますか。
A これまで、三十年間の間、コンピュータに視覚や聴覚、、学習能力などをどのように得させるかについてさまざまな努力が続けられた。これは人工知能の領域に入るものだが、この進歩はなかなか得やすいものではなかった。 しかし、コンピュータの能力については見通しが明るいと思っている。これだけコンピュータのパワーが上がってくると、いろいろな問題を解決できる。
十年後には、視覚・音声認識について非常に高い能力が、ウインドウズPCに標準でつくことになるだろう。
神奈川県立大師高校
Q 僕は将来教師になろうと思っていますが、ネットワーク化された学校の環境の中で、今後学校や教師の役割はどのようなものになると思いますか。
A コンピュータを使うことにより、教育面の改善が図られることについて大きな期待を寄せている。
今後の教師の役割は、生徒たちにいかにモチベーションを与えるかが大切だと思います。グループで問題を解決していかにフィードバックを得るかということについて、さまざまなモチベーションを教師が図ることができるはずである。学生たちが学び、貢献ができるように教師が導いていかなくてはならない。
場合によっては、何人かがインターネットにアクセスしている間に、残りのクラスの生徒が先生と対話をしてテーマについて語ったりすることもできるし、一人、あるいはチームに対して宿題が与えられることも考えられる。
学校体験というのは、将来においてはマルチメディア体験になろうとしている。
鳥取県私立鳥取城北高校
Q 私たちが勉強する上でのアドバイスを。今のようになるために、学生時代にどのようなことを一生懸命しましたか。今後パソコンは勉強を助けてくれますか。
A いろんなテーマに関する本を読んだ。学生のときは、主にフイクションを読んでいたが、それだけでなく、伝記、科学の本を読んだ。そして、読書を好きになること、学習することを好きなることを教えてくれた両親に感謝している。これが基本的なことで、コンピュータに時間をかけるよりもっと大切なことかも知れません。
いっぱい本を読んだために、数学や科学などについては、クラスよりも進むことができた。そして、読書をもっとする時間を得ることもできた。
ちょうどその頃、初めてのコンピュータが私の前にあらわれた。まだ、原始的なものだったが、教師たちでさえ、どう使うか理解できなかったので、一つのチャレンジとして、考えて見ろといった。私は謎解きが好きだったので喜んで取り組んだ。
インターネットはすばらしいもので、非常に大量の情報を得ることができる。もちろん、そうした情報の多くは英語で存在しているわけだが、インターネットに取り組むことによってもっと英語を勉強するチャンスが与えられる。自分がホームページを作成したりするのは大切である。そして、コンピュータの基本的な理解は必要だと思う。コンピュータは何ができるか。また非常に重要な点として何ができないかを理解しなければなりません。こうした理解はこれからどんな仕事においても大切になる。
科学や物理学、数学などについて自分が高校生だったときに、インターネットがあればどんなにすばらしかったろうと良く考える。
大分県犬飼町立犬飼中学校
Q
「インターネットは空っぽの洞窟」はインターネットは人間同士の関わりを薄くさせる、とありますがどう思われますか。コンピュータやインターネットでばら色の未来を作ることを夢見ていたぼくたちはこれを読んで不安になりましたが、ビルゲイツさんはどう思いますか。A
どんな分野でも懐疑的な人が疑問を投げ掛けるのは良いこと。クリフォード・ブラウンは良くその役目を果たしたと思います。しかし、基本的には彼に同感することはできません。本が初めて登場した時にそれに対して懐疑的な人もいたわけです。人たちは本を読んで分かり、何もしなくなると。また、計算器が登場したときに誰も数学を理解しなくなるという懸念もあったわけです。しかし、コンピュータを使うことによって、思考する時間を多くとれるようななった。
また、電子メールを使うようになって、電話よりもどうやって文章で自分を表現するかを覚えなおさなければならなくなった。
埼玉県立新座総合技術高等学校
Q 今後、インターネットの環境はどのように、変わると思いますか。情報通信の時代には、電話回線、通信衛星、CATVなどを使った通信などが考えられますが、どれが躍進すると思いますか。
A インターネットは将来、いろんな形で接続が実現されていくだろう。利用者はそれを一切意識する事無く、これが実現されることになる。もちろん、重要な役割を果たすのは、電話会社。本日利用されているようなISDNという技術も大切だが、さらにADSLという技術を使うことによって、もっと高速化をはかることができるようになる。そして、より早い速度で接続をし、もっとよいビデオ画質が実現されてくる。
将来においては、光ファイバーも大切であり、ケーブルもより更新され、インターネットへの接続に利用されていく。衛星技術は、農村地帯といったような非常に人口の少ないところに接続をする上で重要で全面的なカバーを実現である。
インターネットでは、よりスピードの高速化が見られるようになり、オーディオもビデオのより高い質のものが実現され、セキュリティも強化される。
検索機能ももっとよくなる。今は正しい情報を得るのはなかなか困難だが、それも将来解消される。