文部科学省 小・中・高の指導目標
モデルカリキュラム示す
インターネットの掲示板や携帯電話のメールによるいじめやからかいが多発しているが、文部科学省は啓発セミナーやWebサイトによる教材提供、モデル校における研究実践などに取組んでいる。そうした成果を踏まえ、情報モラル指導の「モデルカリキュラム」と多数の実践事例を収録した「すべての先生のための『情報モラル』指導実践キックオフガイド」(委員長・永野和男聖心女子大教授)を日本教育工学振興会がまとめた。ガイドブックはホームページからダウンロードできる。http://www.kayoo.org/moral-guidebook/
小学校から高校までを対象にしたこのガイドブック(A4判45ページ)は、第1部「情報モラル教育の必要性と指導カリキュラム」、第2部「これならできる 情報モラル指導実践例」、第3部「指導に使える役立ち資料集」。
地域の実情に合わせカリキュラムを組み立てるためのモデルとなる「情報モラル指導カリキュラム表」は、1、情報社会の倫理、2、法の理解と遵守、3、安全への知恵、4、情報セキュリティ、5、公共的なネットワーク社会の構築の5つに指導内容を大分類。各分類ごと、小学校低、中、高学年、中学校、高校の発達段階に応じて「違法な行為とは何かを知り、違法だとわかった行動は絶対に行わない」といった目標を設定した。
そして、指導の要点として、1、情報モラルを踏まえたICT活用教育の推進、2、日常生活のモラルがベース、3、携帯電話利用の指導も含める、4、繰り返し、随時指導する、5、具体的な事例・場面を示し考えさせる、6、学校の年間指導計画の中に情報モラルを位置づける、ことの重要性を示す。
実際の指導に際しては、子どもたちの利用状況を調査し、保護者にもその実態を伝え、保護者と連携した情報モラル教育を展開する必要があると言及する。
第2部では国語や社会、道徳、総合的な学習の時間、保健体育、外国語などにおける9つの実践事例を、指導計画略案、指導の留意点も付属して収録。
また、「生徒指導の中でも情報モラル指導」、「保護者と連携した情報モラル指導」、「先生自身が知っておくべき『情報モラル』」の要点も加え、保護者向け講習会を実施する際のポイントとして、インターネット利用のメリット・デメリット、アンケート結果、学校で行っている指導内容、など7点を挙げた。
第3部の資料集では、指導に関わるQ&A、情報モラル理解のための教師用、児童・生徒用、保護者用のチェックシート、役立つサイトや用語解説を盛込んでいる。
簡潔に必要事項がまとめられ、情報モラル指導の在り方を鳥瞰する上で役立つ冊子である。
委員長の永野和男教授は、「情報モラル教育は、的確な判断力を養う礎になる教育」とし、学校をあげての体系的な取組みこそ重要と語る。
【2007年6月2日号】