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■有害情報への対応急務

携帯電話事業社による有害サイトアクセス制限サービス
事業社名
NTTドコモ
au(KDDI)
ソフトバンク
サービス名称
「キッズiモード」
*他に「キッズiモードプラス」「時間制限」がある
「EZ安心アクセスサービス」
「ウェブ利用制限」
月額使用料
無料
無料
無料
対応機種
iモード対応全機種

EZ WINコース
EZweb multiコース

Softbank3G
*V801SAとV801SH除く

申込方法(PC)
申込方法(電話)
DoCoMO
インフォメーションセンター
auお客様センター
ソフトバンクお客様センター
ドコモ携帯から局番なし151(無料)au携帯から局番なし157(無料)ソフトバンク携帯から局番なし157(無料)
一般電話から
0120-800-000(無料)
一般電話から
0177-7-111(無料)
一般電話から
0088-21-2000(無料)

 携帯電話におけるフィルタリングサービスを学校関係者や保護者等へ普及させるよう、文部科学省、警察庁、総務省の3省庁が都道府県知事・都道府県教育委員会・都道府県警察等へ合同で働きかけるなどネット上の有害情報から子どもを守る取組みが熱を帯びてきた。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯電話事業者3社では、有害サイトアクセス制限サービスを提供し始めている。

 警察庁の調べ(平成18年)によると、出会い系サイトに関連した事件の検挙数は前年比21・1%増の1915件。被害者1387人のうち18歳未満の児童は1153人(83・1%)。アクセス手段を見ると、96・6%の被害児童がそれらサイトへ携帯電話を利用してアクセスしており携帯電話からのネット接続が事件の端緒になっていることがわかる。

 ネットに接続できる機器は今やPCに留まらず、携帯電話、家庭用・携帯用ゲーム機からも簡単にアクセスすることが可能だ。

 子どもたちが携帯電話から出会い系サイトなどのネット上の有害情報にアクセスして事件・事故に遭う事例が増加する一方、子どもたちをそうした被害から守る「フィルタリング」の普及は進んでいない。未だ多くの保護者の認知・利用まで至っていないが、そうした各種機器においては現在子どもを有害情報の受発信者にさせないフィルタリングが提供されており、積極的な活用が期待される。

 今年に入り携帯電話で子どもが契約者となる場合は、契約時にフィルタリングサービス(無料)の申込みの有無に関して保護者へ必ず意思確認を行うことになるなど、対策も組みだした。また契約後の設定や申込みについては、各ショップ・携帯電話機・電話・PCから可能(表)。

「学校裏サイト」中高へ浸透
 「有害情報対策のためのネットワーク推進フォーラム〜たとえば、『ネットいじめ』。学校だけの問題ですか?〜」(主催 文部科学省)が2月23日、東京都内で開催され、有害情報対策の最新事情について先進的な取り組みを続ける群馬県、石川県野々市町、秋田県での取り組み事例が発表された。

 基調講演「有害情報から子どもを守るネットワークづくり」では下田博次氏(群馬大学大学院教授)が群馬県での取り組みを紹介、子どもたちが携帯電話をツールにどのような有害情報に接触・発信している実情が発表された。

 下田氏は「携帯電話はサブカルチャーの増幅機。従来にない子ども文化を創ることができるため、携帯電話を子どもたちが面白がって使っている。一方で、子どものサブカルチャーに擦り寄ると儲かることから、ネット遊び産業やネット風俗産業が巧妙化した」と子ども向けに携帯電話のネット産業が発展していることを指摘した。会場では最新の技術が搭載された子ども向け携帯電話「キッズケイタイ」を利用してインターネットに接続、参加者に多くの子どもたちが利用する実際の携帯サイトの現状を説明した。

 子どもたちが管理・運営する学校裏サイトと呼ばれるサイトでは、学校ごとに立てられた電子掲示板に文化祭や仲間同士へのメッセージの書き込みだけでなく、中傷メッセージや猥褻画像・動画等の貼り付けが横行。

 なかには「性について語ろう」というトピックで性行為の方法等を鮮明な画像を用いて紹介したり、自ら全裸の画像を携帯のカメラ機能を利用して撮影し、ネット上に掲載する例も確認されている。学校裏サイトは群馬県関連だけで200件以上の登録があり、中学校だけでも100以上を数えるという。


新たな遊び「プロフ」
 また新しい遊びとして、画像付きで自分のプロフィールをネット上で紹介する「プロフ」という遊びが小学校から中高生の間に急速に普及、名前や自らの写真、趣味、メールアドレス等、それぞれの情報を掲載し、子どもたちのコミュニケーションツールとして利用されている。

 「インターネットを利用すれば興味があるものに簡単にコンタクトして関係性を持てる。親や教師の頭越しのバイパスチャンネルをつくってしまうメディアと言える」とネットのメディア特性を説明した下田氏。今後の対策については「出会い系サイトを使ってはいけないよ、と言うだけでは『それしか知らないのか』と子どもに思われてしまう。効果的な方法は有害情報の発信現場となった教師や保護者に現実を理解してもらい、子どもたちへ大人がしっかり把握していると思わせなければならない」と述べ、親と子どもに向けた新しいリテラシープログラムが必要になると語った。

 大人が感知し得ない子どもだけのネット空間を築き始めた子どもたちに対し、もはや「ITは苦手」と言う理由で看過するわけにはいけない。

「親子で学べる情報モラル」Webコンテンツ化
 情報モラルを親子で学べる書籍「子どもたちのインターネット事件 親子で学ぶ情報モラル」(長谷川元洋/編著・東京書籍)が2月、手軽なWebコンテンツとして登場した。

 同書に掲載された豊富な事例の中から、小学校高学年向けに「携帯電話の落とし穴」「親子で学ぶ情報モラル」など12事例をピックアップ、問題事例とその対応法、明日への対策、参考URLへのリンクなど、易しくコンパクトにまとめられており、小学校での情報モラル教育に役立つ。
http://kids.tokyo-shoseki.co.jp/kidsap/kids_trouble.htm