国公私立あわせ全国5408校の高校のうち663校(11月22日現在)と、約12%の学校で未履修が行われている状況が露呈した。
うち公立は371校、私立は292校。現在の高校3年生のうち10万4202名が70時間以下、多くて10単位の未履修。熊本県以外の全ての県で未履修が行われており、地理や歴史、教科「情報」の未開設などの問題も露呈した。
弊社で行ったアンケートでは、約7割弱が「未履修は問題外、あり得ない」という反応であったが、うち3割強は「やむを得ない」と反応、「必修科目である家庭科や情報科が高卒認定試験にはない」「社会科が地歴・公民科となったことや世界史が必修になったことを見直すべき」「今の制度では弊害が発生して当然」という意見も多い。
必修とするならば大学入試にも取り入れるべきである、という意見が出る一方で、高校は大学入試のためにのみ存在するわけではない、と意見が対立しており、その論点は各校の性格や性質・伝統、各教科の立場により大きく異なるのが特徴だ。
「未履修」科目のひとつとして教科「情報」も上げられている。情報を教えていなかった学校では新教科「情報」が「新設された平成15年度から実施してない」とする学校が68%あるという。ここで教科「情報」を履修科目から外してはならないと、大学関係の各種団体が早々に提言を行った。
情報処理学会(会長 安西祐一郎)では「高校教科『情報』未履修問題とわが国の将来に対する影響および対策」として昨年11月に提言を発表。「情報」未履修問題の要因と状況改善のために具体的な提言を行った。
また、日本情報教育開発協議会(会長 岡本敏雄)では、「高等学校教科『情報』の必履修についての請願書」を中央教育審議会に提出した。その中で先進諸国に比較し日本の情報教育の授業時数の少なさを指摘、「高等学校教科『情報』に履修単位を3年間で4単位にすること」「必履修科目を1年次に置き、受験勉強とは独立して学習が進められるように配慮すること」を明記している。
まだ成長段階にあるとはいえ、次世代の日本を牽引すべき人材育成のために生まれた科目でもある教科「情報」であるが、その内容を単に「パソコンの使い方を教える教科」であるとする現場教員もおり、教科「情報」誕生に尽力した研究者らの教科にかける「思い」がまだまだ伝わっていないと感じる。
その解決の方策として、教科「情報」専科の教員採用は大きな手法のひとつであるはずなのだが、東京都では教科「情報」教諭の採用試験において54名受験で1名しか合格しなかったとのこと。教科「情報」の教員として現場で活躍したくてもできない状況の改善には、教育委員会の積極的な姿勢も必要だ。