情報モラル教育は緊張の課題 |
「情報モラル」の研修は、財団法人コンピュータ教育開発センターの協力により、実施した。
携帯電話が普及し、ますます子どもたちにネットの危険が迫っている。
東京都羽村市の講師・西田光昭氏(千葉県柏市立土南部小)は、「中学校になると問題になるのが学校裏サイト。また、出会い系サイトの被害も年々増えている。児童買春に子どもの方から入ってしまっている」とますます身近になる携帯電話を中心としたネット社会の危険性を強調した。
興味本位でアダルト系や薬物系の掲示板にレスすると、その関係の情報が数多く返ってくる。また、自分では限定して自分のプロフに短期間自分の写真を載せたつもりでも、一度インターネットに流してしまった情報はほぼ回収できない。
「自分のプロフをアダルト系のサイトに使われてしまい、警察に相談する事例もあるが、一度情報が流れてしまうと回収できず、どうしようもない」。
西田氏は、「禁止だけではダメ。メディアとのつき合い方を学習すべき」として「ネット社会の歩き方」や「情報モラル・ネットワーク部会」、「やってみよう情報モラル教育」などのサイトやテキストを紹介、道徳や国語等の時間でも取り組めると提案した。
また、個人情報が漏えいしてしまった場合の行政の懲戒処分の指針を提示。データの持ち歩きについて、1、なるべくしないのが基本、2、管理できる体制を作る(届出・報告)、3、ノートPCの中に入れたままにしない、4、暗号化、分割などをする、5、USBもセキュリティタイプを使用する、ことを上げ具体的に暗号化の方法やセキュリティツール、ハードディスクの処分方法について説明した。
岐阜県羽島市では8月9日、「情報セキュリティ」「情報モラル」について研修が行われた。
「個人情報を漏らしたときの一件当たりの補償額は1万5000円から1万6000円と言われている。200件漏らすと300万円、1100人程度の大きな学校になると1500万円超になる。補償面や情報が悪用された場合を考えるとゾッとする」と講師の藤村裕一氏(鳴門教育大学大学院准教授)。藤村氏は、『学校情報セキュリティ・ハンドブック〈改訂版〉』(財団法人コンピュータ教育開発センター、平成19年3月30日発行)を配布・参照しながら、学校でセキュリティ対策を進めるには、「現場の教職員が情報リスクを充分に自覚・認識していない」「学校における情報資産、情報リスクと脅威の分析が不十分」「小規模校では実効性のあるセキュリティ対策が困難」なことから、学校ならではの特殊性と実効性に配慮したセキュリティポリシーの策定を薦めた。
また今すぐできる情報セキュリティ対策として1、盗難・紛失に備えパスワードの設定・暗号化を行う、2、ウイルス対策ソフトの導入と基本ソフトのアップデートを欠かさない、3、リースの返却、売却時にはデータを完全に消去する、4、ファイル共有ソフトは利用しないと説明、なかでも3、に便利なツールとして「非常に強力な消去方法を採用したソフト」としてフリーソフトのEraserhttp://www.tolvanen.com/eraser/(英語版)を紹介した。