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教員研修支援プロジェクト報告
IT機器活用コース

先生のデモに会場から感嘆の声


デジタル教材写真
デジタル教材をその場で作成、発表する先生たち

 研修では情報機器を使った様々な授業について解説。講師であるコクヨ株式会社の安吉弘氏が各地の研修会で先生方が作成した教材を示した後、参加した先生方は各自パワーポイントで教材を作成。作った教材を電子情報ボードのひとつ「mimio」で前に出て発表するという流れ。

  一般に先生方はIT活用が不得手、と捉えられがちだが、パワーポイントをこれまで使ったことのない先生でも、しっかりとした教材を作り上げることに驚かされる。黒板の前に出て未体験の電子情報ボード「mimio」を使って発表する様子は、日頃の教材研究、授業実践の積み上げ、授業力がストレートに出てくるようだ。

  作成に入る前に、安吉氏が昨年各地の研修で作られた教材や電子情報ボードの実践事例を参考として投映する。すると参加者の頭の中に様々なヒントがすぐ浮かんでくるようで、ネットワークを介して参考ファイルを受け取るのを待ち切れずに作成を始める。

  インターネット上からデジタルコンテンツをダウンロードしながら、国語の書き順、算数・数学の解法、英語のペア授業、歴史、植物や昆虫の生態などについて何枚ものスライドを作成。質問や回答、ヒントも盛り込んだ多くのスライドには、アニメーションなどの効果を付けるなど一工夫。模擬授業の発表を行った。

  情報機器には準備に手間がかかる、機器使用に慣れが必要、といったデメリットがある。しかし、修正が容易、様々な情報を伝達できる、映像を拡大投影して生徒の視線を同一点に集中できる、などメリットも大きい。


    ◇   ◇


  横浜市では8月3日、「普通教室での授業でもカンタン、手軽なICT活用」をテーマにIT機器活用コースが行われた。講師は日本アビオニクス株式会社の天野由紀氏が担当、市内の小中学校の先生が集まる中、ICTを活用した授業の効果やプロジェクタ、周辺機器の活用法について事例紹介も交えながら解説した。

  まず天野氏は授業に役立つツールとして、パソコン、プロジェクタ、資料提示装置、ビデオ・DVD、電子情報ボード等の活用法を紹介、95%以上の教員が授業でのICT活用の効果を評価した「教育の情報化の推進に資する研究(ICTを活用した指導の効果の調査)」(文部科学省委託・独立行政法人メディア教育開発センター調査)のデータを示し、「授業にICTを活用すると『関心・意欲』『知識・理解』ともに使わないより高くなる。
中でもプロジェクタは、使用したICTの種類としてコンピュータに次いで2番目だった。ICT活用の必須アイテムと言える」と説明した。

  かつては高価な製品だったプロジェクタも今ではずいぶんと手ごろになった。国内では10社以上のメーカーが販売、黒板投映モードや、利用後に時間をかけずに電源が切れる機能など、授業で使いやすい機種も提供されている。

  また近年導入が進む電子情報ボードと比較して、「プロジェクタは持ち運びが簡単で画面サイズも調整可能。天井設置もでき、教室のどの角度からも画面が見やすい。一方、電子情報ボードは、タッチパネルで表示画面上からPCのマウス操作が行える。使用時設置スペースを取らないのが利点。また資料提示装置(書画カメラ)は、プロジェクタや電子情報ボードに接続できるため、教科書やノート、立体的な模型などを簡単に投映することが可能で、アナログコンテンツを使ったICT活用授業が実践できる」と述べ、使用環境に応じたICTの導入を薦めた。

  ICT機器の説明や実践事例の紹介に次いで、書画カメラ内蔵プロジェクタを活用したワークショップが行われた。4、5人で1グループを組み、先生方は持参した教科書や資料を利用してプロジェクタ操作を体験、効果的な授業での活用場面を発表し合った。各グループには1人、プロジェクタ操作に詳しいスタッフが付いたため、参加者は日頃聞く機会のなかったプロジェクタの細かな操作法や、デジカメ等よく利用する機器と合わせた利用法についてスタッフへの質問が相次いだ。

  発表では、中学校数学の教員が、多角形を三角形に分割する指導でプロジェクタを活用する授業案を紹介。可動式のホワイトボードに六角形を投映し、投映された図形の中に1通り目の分割する線を書き、2通り目は、ボードをずらして1通り目の隣に投映された新たな六角形に別の分け方を書き込む手順を繰り返す手法を提案。

  実際にホワイトボードを動かしながら説明する先生のデモンストレーションに、会場では「おお」と感嘆の声が上がった。
「黒板だと何通りかに分けるたびその都度新たに図形を板書しなければならかなったが、プロジェクタの活用で手間が省け、別の分割線がボード上に残るので分かりやすい」と述べた。ちょっとした小さな不明点を解消することで、先生方は普段の授業イメージに沿って次から次へとプロジェクタへの活用方法が湧き上がってくるようだ。

  デジタル化して教材の保存、動画や静止画の手軽な提示、大きく映して子どもたちの注意をひきつける、普通教室で使える機能が揃ったプロジェクタがワークショップを活発な意見交換の場となった。

参加者のコメント

  「記録カード等の作成も書き方を指導しないと書けない子どもがいる。これまでは、見本として先に進んだ子のシートを借りて皆に見せながら指導していたが、それでは借りている間、進んだ子は何もできず、その子の時間を奪っていた。書画カメラとプロジェクタを使って見本のシートを撮影、保存、投映すれば、借りてもすぐに返すことができて、進んだ子の時間も奪わない」(小学校教員)

  「これまで教材を子どもたちに大きく提示しようとしたら、モノクロで拡大コピーして見せるしかなく、せっかくのカラー刷りの資料も真っ黒になって出力されてしまい、不鮮明で色の違いがわかりにくかった。書画カメラを使って大きく提示できれば、資料と同じ色をカラーで見せられるし、紙も無駄にならない」(小学校教員)

  「普段、子どもたちが演奏する様子も保護者に生で見てもらう機会が少ない。一生懸命演奏している姿を保護者会でデジタルカメラのデータを大きく映して紹介できそう」(音楽科教員)

 

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