快適なマルチメディア図書館
壁面に本、ビデオ、6台の端末からインターネット
昭和第一高校
将来の社会、企業を想定
CD-ROM140タイトルを所有
カーペットの中央にはピンクのじゅうたんが敷かれ、その上に生徒たちがリラックスし、コンピュータ関係の雑誌などを見ている。インターネットやCD−ROMの画像、ビデオを拡大投影できる液晶プロジェクターもあり、心地よい音楽も聞こえてくる。
東京都文京区私立昭和第一高等学校は昨年11月、マルチメデイアと快適空間を追求した図書館を開設した。スペースは都心にある為、あまり広くないが、一歩足を踏み入れると、従来の図書館とのイメージの違いに驚く。入り口左手には、生徒用の6台のコンピュータ、その手前には危険がないように、車のフロントガラスを用いてで仕切られたサ−バ−関係のブース。右手は前述のくつろぎのスペース。その回りの壁面には、本やビデオが収納され、また、壁面に沿って1クラス約40人が座れる天然木のベンチが作られている。
便利で知的なツールを生徒に
生徒たちは、課題学習や教科、趣味の調べ物に図書館にやってくる。家庭科でレシピの検索をしたり、新聞社のホームページにアクセスして、ニュースを見たり。授業で教員が使った資料を見に来たり。どの端末もインターネットに接続されているため、人気が高く、昼休みは順番待ちの状態。
「便利で進んだツールは、少なくとも生徒たちに体験させたい」とネットワーク管理者で、司書教諭の齋藤康江先生。齋藤先生は3年前に図書館担当となったとき、学校の情報システム構築方針に沿い、先進的と言われる図書館や博物館、企業など様々なところをリサーチした。
その結果、「これからの図書館は、コンピュータ抜きでは考えられない」という結論に達したという。そして、将来生徒が就職していく企業、社会を想定したシステムを構築した。
図書館には約140タイトルのCD−ROMがあり、生徒たちは6台の端末から自由にいつでも好きなタイトルを見ることができる。平凡社の百科事典や三省堂の辞書、マイクロソフトのエンカルタ、新潮文庫の100冊、世界の車窓から、ルーブル美術館、日本経済入門ゼミナール、など_・漠ぢど。CD−ROMは、ライセンスの関係でスタンドアローンで使用しなければならないものと、ネットワークで利用できるものがある。そこで、スタンドアローン対応については6連装のCD−ROMチェンジャーで、ジャンルごとにカートリッジに収納して利用、ネットワーク対応についてはCD−ROMタワ−サ−バ−を使い、ライセンス契約している。
また、教員の研究用CD−ROMも充実し、国語科用の明治大正昭和の文学雑誌、八木書店の「文章倶楽部」やオックスフォード、アメリカーナ等の辞書も充実している。
インターネット、CD-ROM検索システムとともに利用されているデータベースは、丸善システムサービスが納入したクライアント・サーバー型図書館情報システム「ILIS/X−10NX」。これは、図書館に必要な情報をデータベース化し、探したいタイトルを簡単に検索できるもの。さまざまなシステムをリサーチした結果、インターネットに対応、画像取り込みもできることで、このシステムに決めたという。
同校のホームページから、このシステムにより、同校が所有する本やCD−ROMを検索することができる。しかも、CD−ROMについては、パッケージの画像
付きで紹介、出版社から画像使用の承諾も得ている。
所有の本やCD−ROMを公開しているのは、生涯学習への支援を学校が行いたいという考えから。「地域社会や生徒の保護者に、学校の持つ知的なものを還元していきたい」という学校の方針があり、学校図書館も要望があれば利用してもらっている。従来から簿記やコーラス、外国語、書道のカルチャー講習会も定期的に実施している。
JR水道橋駅から約2分の好立地にある昭和第一高校は、国際感覚の育成にも力を入れ、アメリカ、オーストラリアの学校と姉妹校提携。海外語学研修や留学制度も持っている。
学校のURL
http://www.sdh.bunkyo.tokyo.jp/「ILIS/X−10NX」=バーコードによる貸し出し管理や貸し出し履歴のチェックができる。図書データは、ISBN番号を入れるだけでCO−ROMから入力ができる。優れた検索機能を持つ図書館用データベース。富士通が開発、丸善などが納入。
(教育家庭新聞97年12月6日号から)