国際大学と英語の共同授業
青稜中学・高等学校
電子メールで英作文生き生きと
生きた英語と国際性を身につけるため、東京・品川区の青稜中学・高等学校(小林實校長)は1昨年、新潟県大和町にある国際大学と提携、同大学の留学生とインターネットでメール交換や理科や社会を統合した合科的な授業、共同の教材研究などを始めている。
国際大学は、故・土光敏夫氏など財界人が、国際化時代に必要とされる人材の育成を目的に、昭和五十七年に開設した大学院大学。院生の大半は留学生で、講義はすべて英語で行われている。国際大学のホームページもすべて英語で作られている。
提携は、海外で二十年間にわたり、大学院教育に携った経験を持つ住田教授と、同校教諭の一人が知り合いだったことから、話が発展した。「国際大学では、国際理解教育を中等教育段階でどう実践するか研究したいと考えていた。一方、本校も学校経営の過渡期にあり、新しい特色を打ち出したいと考えていた」と前校長の永井好弘氏は提携の経緯を語る。
毎月二回、国際大学からスタッフがきてカリキュラムなどの打ち合せを進めている。試行期間として中学二年生を実験クラスとして、英語の共同授業を実施していたが、徐々に他学年にも広げている。具体的には一昨年十二月に、第一回協力授業として、ビデオで国際大学の学生を紹介したりする授業が行われた。昨年三月には初めて、インターネットに接続して、英語の授業を。
コンピュ−タ教室には、FM―TOWNSが四十八台。この内、先生機一台と生徒機四十台の計四十一台がインターネットにダイアルアップで接続されている。
第一回の協力授業では、国際大学では留学生五人がパソコンで応対。青稜中学校の方は、ビデオで留学生の紹介後、五グループに分かれ、留学生に対して質問を考えさせた。「身長は何センチですか」「日本では、どんな食事が好きですか」などの簡単なものだったが、生徒は自由に英文を作り、メールを送った。
留学生からメールがきた
「始めての経験なので生徒たちは、留学生からメールで返事がきたときには、ワーと感激していました」と英語科の清水努先生。
伊東先生も「中学一年生程度の英語でも、自由に書かせると、生徒はかなりの線まで英語を作ります」と、生き生きと取り組んでいる生徒の様子を語る。
今年はこのメール交換を「Seiryo-IUJ E-mail Project」と名付け、中学二年生全五クラスが参加して、国際大学の五人の留学生と数回にわたるメール交換を行った。出身国や趣味などの話し合いや、留学生自身の顔を英語で描写した文を送ってもらい、似顔絵と英文のプロフイールを作って掲示し、校内コンテストを行った。
同校は、六年一貫の中学・高等学校。昭和十三年に設立、平成7年度から中学が男女共学に、九年度からは高校も男女共学校になった。「意志の教育」、「情操の教育」、「自己啓発の教育」を教育方針に、多様な教育を展開している。
施設も充実し、コンピュータ教室のほか、ワ−プロ検定合格を目指す生徒のためのワープロ教室(四十八台)、LL教室などを設置。百八十席の多目的ルームには、240インチスクリーンと大型のプロジェクターが二基、英語クラブがビデオを流し、英会話の練習をしたり、代々木ゼミナールの衛星を使ったサテライト授業を、受信することもできる。
環境問題など世界的な課題も幅広く
小林校長は、インターネット活用の狙いとして、「国際大学とインターネットを通して交流することで、生きた英語が身につけられる。環境問題など全世界的な問題も、インターネットを活用することで、より幅広く考えることができる。そして、そうした取組みが教材研究のきっかけになってくれればよい、と思っている。事実、共同研究で教科の枠を超えた教材の開発などを考えると、今までの教え方、教材の範囲ではない、別の見方が求められてくる」と期待を込める。
毎年夏休みには、八ケ岳の寮で国際大学の留学生と実際に交流しながら、語学研修を目的とした合宿を行っている。
(教育家庭新聞96年6月8日号)
_