大井町立上大井小学校
理・社の総合的学習に
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地球温暖化の要因であるCO2を吸収し、非木材紙としての利用でも注目されているケナフ。環境教育の一環として、栽培に取り組む学校が増えている。
神奈川県大井町立上大井小学校(鈴木良三校長)の5年生全児童48人が、12月4日午前9時10分から11時45分まで、自分たちが種を蒔き、栽培したケナフの収穫と紙すきを体験した。2002年からの総合的な学習の時間を先取りして、この日は理科と社会の授業をあて、同校緑化担当の栗田均教諭が担当。さらに実技指導はケナフ研究の第一人者として知られる、神奈川大学総合理学研究所所長・釜野徳明教授があたった。
同校に近いNECホームエレクトロニクス「湘南テクニカルセンター」は、施設内でケナフを栽培。地域貢献の一貫として、ケナフの種蒔きや紙すき体験に地元の小・高校を招いている。毎年この行事に参加している同校から、校内で児童に栽培の過程を勉強させたいという要望があり、同社が種をプレゼント。6月に5年生全員で種蒔きした。
授業は図書室での、45分間のケナフや紙すきの勉強から始まった。授業開始にあたって児童の代表が、「10月から11月にかけてきれいな花が咲きました」と経過を振り返った。
10時からは中庭に出て、子どもたちの身長をはるかに越える丈に生長したケナフの刈り入れと皮むき。「バナナの皮をむく要領です」という釜野教授の指導で、子どもたちは器用に作業をすすめた。さらに芯をたたいて、繊維状にするまで約30分間。
準備ができたら、家庭科室に移動し、いよいよ紙すきに挑戦。この時間は1時間余り。机に座っての勉強とは違って、子どもたちには短いと思われるほど、充実した体験学習の時間となった。上手に仕上げた1組の土屋さおりさんは「紙すきが一番楽しかった。自分で作った紙を家族にみせたい」と満足気。
同社は敷地内に3000本のケナフを栽培。昨年はこれによる名刺、メモ用紙、封筒を製作するなど、企業としての環境保全の取り組みには積極的。総務部グループマネージャー・栗田和弘さんは「子どもたちにも体験してもらい、喜んでもらえればうれしい」と、同校の実践に全面協力した。また研究生5人を助手に同行して指導にあたった釜野教授は、「ケナフは土壌を選ばないので、栽培しやすい植物。もっと工業化・商品化の研究がすすめば、環境保全に貢献できる」と説明。この体験をきっかけとして、子どもたちの興味・関心が育つことになればと期待していた。
(教育家庭新聞99年12月18日号)
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