総合学習の独自手法
荒川区立第3日暮里小学校で公開授業
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平成10・11年度荒川区教育委員会研究奨励校の指定を受けている、荒川区立第三日暮里小学校で10月28日(木)、「意欲的に学習を進めていく児童の育成〜総合的な学習を通じて」を研究主題とした公開授業と研究発表、および教育対談が開催された。
従来型の「多くの知識を教え込む教育」から「自ら学び自ら考える力を育てる教育」への教育の転換期を向かえ、同校では、新学習指導要領によって内容や方向性が明確となった「総合的な学習」を窓口として、平成10・11年度の研究と実践に取り組み、転換期にある学校教育に多くの示唆を与えている。
3年2組(生徒数27名、大石吉郎教諭)の公開授業では、「ふしぎ発見!荒川たんけんたい」を共同学習のテーマとして、公園、神社、工場、駅、学校、図書館などを対象に、児童3〜5人からなる班ごとに設定した課題の解決過程について班長による口頭発表が行われた。続いて、地域の社会環境を記述する姿や地域住民にインタビューするシーンなどが、ビデオにより公開された。その後班長を中心として児童が自由に発表用資料を整理・作成する様子が公開された。
研究発表会では、同校の金子美生教諭等により、過去2年間に行った「さんにちモデル」の実践研究の成果が発表された。「さんにちモデル」は同校が独自に考案した総合的な学習の手法であり、次の6段階のプロセスに分割される。
@学習テーマの設定=教師が学習テーマを設定する「教師指導型」、児童が教師と相談して学習テーマを設定する「児童設定型A」、児童が学習テーマを設定する「児童設定型B」に分類される。テーマとして考えられるものは、教科から発展したもの、行事に関連したもの、日常生活から派生したものがあげられる。
A自己と学習テーマの関係の確認=児童は経験や既習の学習との関連を明確にし、話し合いや体験を通して、課題意識を高める。
B課題の設定=児童の興味や関心に応じて課題を設定する。
C学習の計画=どのようなことを、どのような方法で、どのような順序で解決していくか明確にする。
D課題解決の場面=生きた知識や技能、つまり生きていくための学び方や考え方を習得する。
E総合評価=行動観察、児童・父兄とのコミュニケーション、学習の進行状況・満足度・充実感などについての自己評価・相互評価、報告書の作成と発表などが評価の対象となる。また、以上6段階のモデルプロセスの全体を通じて、自己・他者による診断的・形成的評価がおこなわれる。
さらに同校では、地域を基盤とした教育実践ができるように、保護者および地域住民から専門知識、地域での役割、得意な分野などについてアンケートを収集した上で、「地域の人々の人材マップ」を現在作成中とのこと。今後は地域住民の協力をさらにお願いし、同校での取り組みやこの「人材マップ」の活用を広め、活動の幅を広げていく意向だという。
(教育家庭新聞99年11月27日号)
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