東京都目黒区立宮前小学校
環境を幅広く柔軟に捉え実践
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東急東横線・自由が丘駅から徒歩15分、交通量の多い目黒通りを越えた住宅街の中にある、目黒区立宮前小学校(児童250人、宮田澄江校長)の裏庭には、子どもたちの手作りによるビオトープがある。子どもの意欲や興味・関心をリードし、地域の応援も得て完成したものだ。
オープンスクールとなった昭和60年から、同校は総合学習への取り組みを基に週間プログラムの編成など3本柱で、「個に応じた指導」について区教委の研究委託校として取り組んだ。平成8年からは3本柱の研究内容を見直し、総合学習に視点をあてた。現在は「豊かに生きる子どもたち〜環境とのかかわりに視点をあてた総合学習」をテーマに、特別研究委託校となっている。
同校の「環境」についての捉え方は幅広い。「人、社会、自然」と同時に、オープンスクールとしての学校環境、学校とPTAや町会などの懇談の場である住区住民会議を活用した地域環境まで。「総合学習は柔軟な発想がなくては、いき詰ります」と宮田校長。
研究テーマを基に1身の回りの環境に、問題意識をもってかかわる子ども2創意工夫して作り上げたり、育てたりする子ども3集団の中で友達とかかわり、協力して学習を進める子ども4自分の思いや願いを、学習を通して実現できる子ども、という4点の「育てたい子ども像」を設定。自然体験、勤労体験、環境保護、国際交流、地域交流という5つの活動を通して、その実現に迫る、というのが研究の構想だ。
活動は主に、学校裁量の時間である「・み・の時間」が中心。場面に応じて教科・領域との関連をはかりながらの取り組み。昨年度は年間で3年生が14時間、4〜6年生が24時間を当てている。各学年の重点活動は次の通り。
1・2年=生活科「あきとあそぼう」/3年=地域交流「地いきの方とふれあおう」/4年=自然体験「小さな生き物のすみかをつくろう」/5年=勤労体験「裏庭で野菜を育てよう」/6年=環境保護「CO2を減らそう!」
裏庭のビオトープは、4年生の実践「小さな生き物のすみかをつくろう」から生まれた。学校裁量の時間と理科1時間、合計25時間の活動。まずプールにヤゴなど小さな生き物がいることを発見させ、教師は「水泳が始まるとこれらのすみかがなくなる、どうしたらよいか」と投げかけた。子どもの「裏庭に池を作ろう」という発案から、計画の話し合い。他校の例を調べたり、付近の公園に生き物を取りにいったりと子どもたちが自主的に行動。いよいよ土を掘る作業になると、初めは慣れない道具で苦労する場面も。またせっかく掘ったところに水を入れたらビニールが小さかったため、数日後には大半が地中に染み込んでしまったという失敗も経験した。
区の環境保全課に協力してもらい、完成した池は子どもたちの意見で「ひょうたん池」と命名。自然の生態を保つために1ゴミを入れない2周りの虫は採らない3金魚・ザリガニなど他の生き物を入れない、というお願いと共にポスターを作製し、給食時間を利用して校内にお願いに回った。
子どもの一人は「声が小さくて、予定通りにはうまくいかなかったけど、5〜7人から質問があった。全部答えられてよかった」と感想を語った。
(教育家庭新聞99年7月24日号)
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