情報倫理教育の実践

1年生から技術科で
千葉大学附属中学校

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「・生きる力・を育む総合的な学習と教科の学習」をテーマに、第37回中学校教育研究会が千葉大学教育学部附属中学校で6月9日、開催された。
 各教科の公開授業(1時間目)と「共生の時間」と呼ばれる総合的な学習の時間の公開授業(2時間目)が2時間続きで行われた。同校では生徒一人ひとりにメールアカウントを発行しているが、1学年の技術・家庭科では「インターネットと情報倫理」を題材に、電子メール利用の注意点について授業を行った。事前にチェーンメールやスパムメールをメーリングリスト上に流しておき、生徒に問題のあるメール、チェーンメールやスパムメールの問題点と対処方法について考えさせた。

コンピュータ室で

 年間約40時間、隔週2時間ずつ程度実施されている「共生の時間」では、異学年構成で生徒が希望の25のゼミに所属して活動した。本時の位置づけは、6時間にわたるオリエンテーション後、生徒一人ひとりが追求する課題を設定する準備に向けた時間。共生の時間では教室や特別教室がゼミの基本の場所となるが、「毎回コンピュータ室に来て、パソコンでいろんなことをしています」と話すのは、「海外に姉妹校を作ろう」というゼミに所属する1年生の女子生徒の小グループ。これまでオリエンテーションで、電子メールによる交流の方法などを習ってきたことを生かし、本時はホームページのKid,s Space(キッズスペース)で相手を探し、英文でメールを出している。「学校でメールを出すのは初めてだけど、家では3回ぐらい出しています」。メールだけでなくビデオなどを送る計画もあるという。
 「手話を学ぼう」ゼミの1年男子生徒もインターネットで手話の単語を調べ、調べた単語をワープロソフトのWordでまとめている。「辞書で調べたりすると、時間がかかるのでみんなインターネットを使いに来ます。7月に筑波大学附属聾学校を訪問し発表するので、できるだけ覚えておきたい」のだという。器用にコピーしソフトに貼り付けていて、生徒たちの活動の姿は全体的にリテラシーの高さを感じさせた。

技術科の分科会
 公開授業後各教科の分科会が行われた。そのうち、技術科では、第1時間目の授業者の三宅健次先生が情報倫理教育について提案。同校では今年から普通教室にも1台ずつインターネットに接続されたコンピュータが導入され、国語や社会、英語など多くの教科でコンピュータが利用されている。また、1年生の70%が家庭にパソコンを持ち、そのうち49%がインターネットに接続している状況にある。
 そうした中で、中学校技術・家庭科で情報倫理教育を中心とした研究を進めている。「総合的な学習や教科の中でもコンピュータを扱う。そのため、1年生で情報倫理を取り上げている。情報倫理は、何度も繰り返し学んでいく中で定着していくものだと思う」と三宅健二先生。
 情報倫理教育をはじめる前、友達への嫌がらせメールや著作権違反のホームページを生徒が作っていたことがあった。
 その後、千葉市教育委員会の市原浩指導主事の司会進行により高橋邦夫千葉学芸高校長も助言に立ち、小学校では身を守るための知識、中学校では一歩進んで理由を納得できる知識、高校では社会構成上の歪みにも気づき情報倫理のあり方についてディスカッションしていく、といった校種・発達段階に応じた情報倫理教育の必要性を指摘した。
 教科別分科会後、全体会とシンポジウムが行われた。

 (教育家庭新聞2000年7月1日号)


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