パソコンの基礎習得

「FROMKIDS」で体系的に マウスで算数の点対称を学ぶ
長野県小諸市立坂の上小学校

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 長野県小諸市立坂の上小学校は今年度から年間70時間の総合的な学習の時間を年間指導計画の中に位置付け、その中で積極的に情報教育を取り入れている。パソコンは昨年3月に20台が設置されたばかりである。
 週2回の総合的な学習の時間はもちろん、理科、社会、算数、特別活動など、関連付けられる単元の時にはパソコンを使った授業をできるかぎり行っている。「情報教育とは、子どもたちに課題意識をもたせ、自分達が得た情報をうまく処理して発信していくことが重要なのであり、そのひとつの道具としてパソコンがあるのです」と渡辺孝雄先生は話す。「これをやりたいからパソコンを使う」といったように他の道具を使うのと同じ感覚で使えるようになることが大切なのであり、「情報教育=パソコン教育」ではないと強く述べた。

 情報をうまく処理するためにも、まずはパソコンの基礎を習得しなければならない。同校では情報リテラシーを体系的に学べる「FROMKIDS」(発売‥日立公共システムサービス)を昨年夏に導入。1、2年生はこのソフトのみを使って順に操作の基本から学習し、3年生以降に関しては、パソコン操作に関して子ども達がつまずいている点の学習に随時利用している。
 取材に訪れた日は、3年生の子ども達38人がパソコンルームに集まり、この「FROMKIDS」を使った授業を受けていた。授業の導入時にアニメーションが流れ、その中でばらばらにされた鳥の体を自分達で組み立てて完成させていくというもの。マウスを使って、画面上の図形を並び替え、さらに回転ボタンをクリックして図形を回転させていく。算数の点対称の学習に結びついている。2人1組がペアとなり、時間内に組み立てることができたら次のステップへ進むことができる。昨年度から「FROMKIDS」を使って学習している子ども達は上手にマウスを使うことができており、クリアした時には、どの子にも笑顔がこぼれゲーム感覚で楽しみながら学習が行われていた。

 「子ども達の習熟度に合わせてプレゼンテーション用のソフトなど発展的なものも使用していますが、子どもがつまずいている操作などがあった場合、「FROMKIDS」を活用することですぐに基本にたちかえって学習できます。」と渡辺先生。子どもによってパソコンの技能は個人差が大きいのが現状。一斉指導だけでなく、習熟度に合わせた個人指導の際にもレベルに合わせて利用することができるという。「パソコンを使うことで外の世界との受信や発信をすることができるようになり、子どもの視野や学習の幅も広がりをもってくると思います。そのためにもまずはパソコンの操作を習得することが求められてきますが、その段階の学習という点で「FROMKIDS」はとても合っているものだと思います」と語った。
 小諸市内の全ての小・中学校は、まだインターネットに接続されていないのが現状。パソコンを利用して子ども達と一緒に学校のホームページ作りをし、「発信」することの喜びを伝えていきたいと渡辺先生は話してくれた。
(教育家庭新聞2000年5月6日号)