子ども、先生の要望を満たす
千葉県市川市立鬼高小学校
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学習情報センターとしての図書館
千葉県市川市は、学校図書館教育における全国有数の先進的自治体。中でも市立鬼高小学校は、図書館を「学習情報センター」と位置付け、積極的な実践活動を展開している。
「学習情報センター」と言っても、最新IT設備を駆使しているわけではない。22台のコンピュータは導入したものの、基本は読書指導員と呼ぶ図書館専任者らによる「本の読み聞かせ」や、子どもの「知りたい」という欲求を、あらゆる努力で満たしてあげようという、地道な実践の積み重ねだ。
読み聞かせ後に表現活動
鬼高小の読書教育の柱は、「本好きな子どもを育てるための実践」「学習情報センターとして教科や総合学習に対応し、常に子どもや先生の要求を満たす運営」という考え方。
本好きな子どもを育てるための実践では、読書指導員、担任、ボランティアサークルによる本の読み聞かせがある。
特色は、読み聞かせの後に、表現活動を取り入れていること。例えば、絵本「くじらのだいすけ」を読み聞かせた後に、「くじらのだいすけと遊んでみたい人」と子どもにたずねると、「泳ぎたい」「のってみたい」「一緒に走ってみたい」などといった感想が出る。
それらを小さな紙に書き、主人公のくじらのだいすけを大きく描いた一枚の大きな紙に貼り付けると、主人公を中心とした大きな絵が、わずかな時間でできあがる。
高学年では、「百人一首」を読み聞かせた後、6年各クラスで百人一首大会が開かれ、それが5年、4年、低学年まで広がった。読書週間では百人一首大会が開かれ、家庭でも行われるようになった。
蔵書をデータベース化
一方、学習・情報センターとしての実践では、市川市独自の図書館ネットワーク事業を活用して、自校図書館以外から大量の本を集め、学習に役立てている。
また、蔵書をデータベース化し、コンピュータによる管理・検索を可能にしたり、コンピュータも22台導入し、インターネットによる情報収集もできるようにした。
例えば、6年総合的な学習で、修学旅行で日光に行く前に、日光名物「ゆば」を作ってみたいと思ったA君は、本で調べても分からないので、仲間とインターネットで調べ、家庭科室で実際に作ってみた。食べると「柔らかくて甘みがあり、なかなかおいしい」という感想。
また、社会科の時間、沖縄と北海道の生活を比べる授業の時、学校生活の違いを知りたいと思ったB君。インターネットで北海道と沖縄の小学校のウェブサイトを見つけ、年間の学校行事を鬼高小と比べ、その違いに驚いた。
最近は、本やインターネット以外にも、各種パンフレットや新聞記事の切り抜きなど、手作り資料の充実も図っている。
鬼高小の図書館利用が活発なのは、図書館、子ども、先生、保護者、地域住民のコーディネータ役となっている読書指導員・加藤秀子氏の存在が大きい。実際、保護者たちは「加藤さんが赴任してから、子供たちが図書館に集まるようになった」と言う。
加藤氏は「子供たちは安易にインターネットに頼ってしまう傾向がある。低学年の時にたくさんの本に親しみ、学校図書館を十分に活用することを、インターネット利用の基礎にしている。インターネットのコンテンツは大人向けのため内容や語彙が難しく、本に戻る子も多い」と話す。
鬼高小の特色は、保護者など地域住民が図書館活動に積極的に参加していること。本の読み聞かせ、蔵書のデータベース化、読書祭の講師手配などを行う。
宮内洋子校長は「鬼高小の図書館設備は他校と同じ。どの学校でも、やろうと思えば工夫しだいで可能なこと」と言う。
(教育家庭新聞2001年1月1日号)
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