個々の課題を追求する総合的な学習

日常的なパソコン活用
神奈川県相模原市立淵野辺小学校

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 神奈川県相模原市立淵野辺小学校は、特に学校全体や学年でテーマを設けず、児童一人一人の興味・関心にもとづいて課題を追求する総合的な学習「チャレンジタイム」を週2時間教育課程に位置づけ取り組んでいる。子どもたちの課題は、昆虫や動物、植物、地域、作曲家になりたい、環境にいい植物「ケナフ」、食べ物で歴史を探る、など幅広い。

ポイントTT
 子どもたちの課題が多いため、担任一人では対応できない。そのため、3、4年生は学級の枠をはずしてそれぞれ5、6人の教師で対応する。さらに、5、6年生は学年・学級の枠を外して、教師20数人で支援する。そして、事前に児童一人一人から活動場所や内容を確認し、拠点を教室に置いた上で、校庭や公園、図書室、コンピュータ教室、視聴覚教室、音楽室、図工室など必要に応じて児童が活動を展開する場所に、必要な人数の教師を配置するという体制をとっている。同校ではこれを、各ポイントに教師がいるという意味で、「ポイントTT」と呼んでいる。また、教師の人材バンクも校内で作っている。
 同校では、平成9年度から総合的な学習の取り組みをはじめ、児童一人一人に根づきつつある。研究主任の小西先生はこの間の成果を次のように語る。「発表会や登下校の中で、子ども同士で情報交換があるようで、来年はこれをやりたい、という目当てをもっています。調べる場面でも、自主的にかなり活動できるようになっています。例えば以前は調べる場面でも、何を利用するのか決められずに授業のほとんどを使っていた子どももいましたが、今は少なくなっています。まとめる力も向上しています」

インターネットの活用
 ところで、淵野辺小学校は、100校プロジェクト参加校として平成7年からインターネットに接続したインターネット活用の伝統校である。2年生以上は各学年とも週1時間パソコンタイムの時間を設け、3年生はメールの使い方も校内環境の中で練習し、4年生以上では、調べ学習などでかなりインターネットを使っている。コンピュータ担当の田中先生は、「インターネットは神様ではないんですね。高学年になるほど、そうした意識は減っています。つまり、調べたい内容に合わせて情報手段を使う。本や人へのインタビューと同じレベルで、インターネットを使っています」と、いわば普段着の活用が身についているという。
 そうなるのに、どんな工夫をしているのだろうか。「1年生の2学期にはじめてコンピュータ教室に入るのですが、6年生が一人一人ついて面倒を見ます。1時間だけですが、けっこうできるようになります。6年生がついてくれるので嬉しいんですね」と田中先生。
 1年生はその後、2週に1回コンピュータを使い、2年生ではネットワークに対応したソフトでネットワークを体感していく。5、6年生では校内のホームページを一人一人が持ち、環境問題や修学旅行などそれぞれホームページを作っている。また、曜日ごとに使える学年を決めて、パソコン委員会の子どもたちが面倒を見ている。

「F−BOX」の導入
 同校は、コンピュータ教室がCATV(1Mbps)の専用線で、図書室がISDN(128Kbps)の専用線でインターネットに接続。職員室、図書室、6年と4年の一教室には、無線LANも導入されている。そうした中、同校では今年から、インターネット接続用のサーバー「FーBOX」(古河電気工業)を校内ネットワーク用サーバーとして活用している。前述した5、6年生及び教員の校内ホームページは、F−BOXの中で作成しているもので、子どもたちの作品などをできるかぎり蓄積していきたいという。また、F−BOXの機能を使って、校内メールや校内掲示板もできれば活用していきたいという。
 「先生のページも子どもたちに人気があるのですが、校内ホームページがあると、知識や子どもの作品を学級、学年を超えて共有でき、学習の幅が広がりますね」と田中先生は、統一した校内環境を構築できた利点を強調する。

 (教育家庭新聞2000年11月4日号)


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