プールの排水溝、約1割の学校で危険な状態
文部省が調査
排水溝のふたが固定されていない
学校プールの安全性に黄信号が点滅――夏の水泳シーズンを前に、文部省ではさきごろ学校に設置されているプールの排水口の安全性を調査したが、約一割の学校で排水口にふたが固定されておらず危険なことが分かり、同省では改善を促す通知を各教育委員会に出した。
学校プールは循環ろ過式のものが多く、排水管につながる排水口のふたが外れていたために、水泳中に子どもが吸い込まれて死亡する事故が平成六、七年に全国で四件起きている。そのため、同省では昨年五月に十一年ぶりに実態調査をしたが、今回の調査はその後の改善状況について今年二月から三月にかけて追跡したもの。
対象は私立校を含むプールを設置している全国の小・中・高校など三万一千九百七十三校。それによると排水口のふたを「ネジ・ボルト等で固定済み」の学校は、二万九千二百十六校(九一・四%)で、改善が必要な「要改善」の学校がまだ二千七百五十七校(八・六%)あった。
要改善のうち「ふたの重量のみで固定」と回答した学校が二千六百八十三校(八・四%)で、「ふたなし」と回答した学校が七十四校(〇・二%)。このうち「改善計画がある」としているのは「ふたの重量のみで固定」と回答した学校では二千三百三十三校(八七・〇%)、「ふたなし」と回答した学校では二十六校(三五・一%)だったが、今後の改善計画について「なし」と回答した学校が前者では三百五十校(一三・〇%)、後者では四十八校(六四・九%)あった。
一方、排水管口の吸い込み防止用金具の有無については「ある」と答えたのは二万五千三百五十四校(七九・三%)で、「なし」は六千六百十九校(二〇・七%)。そのうち改善計画を持っているのは、全体の約七割の四千六百六十五校だったが、約三割に当たる二九・五%の千九百五十四校が「改善計画なし」と回答している。
排水口のふたをネジやボルトで固定している学校は、前回の六四%から九一・四%と大きく増えた半面、まったく今後の改善計画を考えていない学校もあることから、同省では、今回の調査結果を踏まえて「依然として安全管理の徹底が図られていないのが実情。子どもたちの命にかかわることなので、積極的に改善に取り組んで欲しい」と事態の深刻さを受け止めて、早急に改善するよう強く要望している。
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