8割以上が焼却炉使用中止
【文部省が学校における使用状況を調査】
8割以上の学校がごみ焼却炉の使用を中止−−学校などに設置されている小型焼却炉からダイオキシンが発生する恐れがあることから、昨年10月文部省は「学校焼却炉の原則使用中止」を求める通知を出していたが、同省がさきごろ行った「学校におけるごみ処理等に関する状況調査」(今年5月現在)によると、すでに83・9%の学校が使用を中止し、6・8%が今年度中に中止する予定であることがわかった。
<詳細>
今回の調査対象となったのは分校を含む小・中・高校と特殊教育諸学校、幼稚園の計4万4341校。うち、すでに使用を中止している学校が3万7199校(83・9%)、今年度中に取りやめる予定の学校が3011校(6・8%)、使用を継続する予定の学校が4131校(9・3%)だった。
【使用継続校の現状】
「使用継続」の4131校の内訳をみると「離島、山間など地理的な状況や関係地域の廃棄物処理施設の整備状況などにより、代替措置が困難でやむを得ず」と理由をあげて回答したのは729校(1・6%)で残りの7・7%の3402校(小学校2089校、中学校876校、高校94校、特殊教育諸学校12校、幼稚園331校)については、焼却中止が可能であるにもかかわらず継続する「その他」と回答している。
これについては「(ダイオキシン発生原因の)プラスチック類などを除いて焼却」「紙のみ焼却」「枯れ葉のみ焼却」「機密書類のみ焼却」−−といった内容が目立つ。ただ紙類についてはコーティングされているものについてはダイオキシン発生の恐れが指摘されており、文部省としては現時点で即「焼却中止」を求める考えはないものの、環境庁などの研究で小型焼却炉での紙の燃焼とダイオキシン発生の因果関係が明確になれば中止を求めていきたい考えだ。
【文部省「実質100%」と評価】
今回の結果について文部省では「ごみ焼却への関心が高まっていることもあって積極的に取り組んでもらえた。山間部ではごみ収集委託が不可能な学校があることを考えれば今回の数字は実質的100%に近いもの」と評価。今年度中にもごみ処理と環境教育に関する教師用資料を作成し「環境教育の一環として分別の徹底と同時に焼却炉を減らすようにも意識を高めていきたい」としている。
【分別回収の状況】
一方、学校における分別回収の実施状況についても調査しているが、トップは「あき缶類」で93・2%。次いで「ビン・ガラス類」が90・7%。以下「新聞紙・雑誌」(76・9%)、「ペットボトル・プラスチック類」(64・1%)、「生ごみ」(63・1%)、「発泡スチロール」(46・0%)、「牛乳パックなどの紙製パック」(43・1%)と続いている。このうち新聞紙・雑誌と生ごみ以外については、昨年5月現在の調査結果と比べると実質的な割合が増えていた。
(教育家庭新聞98年9月12日)