パソコン活用で「食の指導」を充実
調理場などに機器を設置
〜 全国238校が研究指定校に 〜
昨年7月の教育職員免許法の改正により、特別非常勤講師制度が学校栄養職員にも適用されることになったことで、学校栄養職員による「食」の指導が本格的に行われるようになってきた。文部省では、学校栄養職員がより効果的な指導を行えるようにとパソコンやインターネットを活用した「食」に関する指導の実践研究を、全国238のモデル校等(共同給食調理場含む)で始めた。今年度補正予算による事業で、予算は3億円。
研究モデル校にはパソコン、プリンター、スキャナなどのハード一式、資料作成用ソフトや献立作成用ソフトなどが3か年貸与される。またプリンター用インク、専用用紙などの消耗品も支給されている。これらの機器類は、学校栄養職員が指導の実践に参画するため活用しやすい場所に設置されることになっている。
主な取り組みとしては、
@1インターネットを活用して食の情報を収集し、子どもたちに情報提供する
A電子メールを活用して、他校の学校栄養職員との情報交換をする
Bデジタルカメラで撮影した作物の画像や、スキャナで取り込んだ本の画像をパソコンで編集してプリントアウトすることでオリジナルの指導資料を作成する
C表計算ソフトなどを作った効率的な献立作成や栄養価の計算を行う
D児童生徒の生活実態調査の結果をパソコンに入力しデータ化する。
これらを活用することでより充実した指導資料の作成や新しい食の情報提供ができるなど、食の指導の幅が広がってくる。また栄養価の計算をパソコンで処理することで、時間的に余裕ができ、食の指導にあたる時間に割けるようになる。
資料作成にフル活用
東京都板橋区 板橋第一小学校の実践
東京都で唯一の実践研究モデル校に指定された板橋区立板橋第一小学校では、パソコン、プリンター、スキャナ、MO(光磁器ディスク)、デジタルカメラを家庭科準備室に設置し、学校栄養職員の七戸登志子さんが積極的に活用している。七戸さんは10年前から個人的にパソコンを使って栄養価の計算などは行っていたが、これらの機器がそろったことで、これからの食の指導に広がりがもてると意欲的だ。
月に一度は特別活動の時間を使って各クラスで食の指導を行っているが、その指導資料作りにさっそくパソコンを活用している。「今はパソコンの担当の先生に指導を受けながら作成している段階です」。栄養に関して書かれた絵本の中から数ページをスキャナで画像として取り込み、余分な文字を消したり、色を付けたり、拡大したりしてオリジナルの紙芝居を作成。1冊の絵本を多くの子どもに見やすいように編集しなおした。昨年11月の研究授業で、すでに資料として使用している。
また、デジタルカメラを使ってお誕生日給食会のカードを給食委員の子どもたちと一緒に作成している。
同校は3年前から区の指定を受けて情報教育に積極的に取り組んでいるため、子どもたちもパソコンやインターネットには慣れており、子どもたちから教えてもらうことも多いという。
インターネットを活用した情報の収集
よくアクセスするのは教育白書http://www.monbu.go.jp/hakusyo/hakuindx.htmlの健康教育のページなど。「充実したホームページを作成している他校の栄養士のページにアクセスして、その学校の献立や食の指導に関しての情報を得て参考にしています」。今後は電子メールを活用して、他校の栄養士と意見の交換なども行っていきたいという。
来年4月からは食に関する情報を満載にした独自のホームページを開設する予定で準備を進めている。栄養士のホームページと同校のホームページをリンクさせ、校内にある11台のパソコンで子どもたちがいつでもアクセスして、栄養について学べる場になればと期待している。(教育家庭新聞99年1月9日号)