児童・生徒への安全教育徹底を
防火シャッターのガイドライン通知 〜文部省〜
防火シャッターによる事故防止の徹底を−−今年4月に埼玉県浦和市の小学校で、誤って作動した防火シャッターに児童がはさまれて死亡した事故を重くみた文部省では、さきごろ日本シャッター工業会の対策検討委員会(委員長=菅原進一東京大学教授)がまとめた、「事故防止のためのガイドライン」を添付し、これを参考に防火シャッターによる事故を防止するよう各都道府県教委などに通知した。火災避難訓練などを利用して児童・生徒を指導するように要請するとともに、作動中のシャッターの下は絶対にくぐらないよう徹底を求めている。
児童生徒の認識の低さを指摘
まずは防火シャッターの構造に触れ、厚さが1・5ミリ以上の鉄板で、非常に重く小学校の廊下に設置されているものでも約220キロの荷重があって、閉鎖時の降下速度は毎分約3メートル程度と解説。そのため通常は挟まれることは考えにくいものの、事故の多くは子どもたちにシャッターの機能や構造についての知識がないため、降下中にくぐり抜けようとして発生していると分析している。
そのため同ガイドラインで学校などの管理者に対して「早急に実施すべき」と示している事項は1危害防止対策の立案2防火シャッターの役割、機能の周知3適性な維持管理の励行−−の3点となっている。管理者に対してはまず、ガイドラインにそって児童・生徒へのシャッターの機能周知、安全教育、シャッターの機能の改善、維持管理などについてそれぞれの状況に応じた対策を立案するように強く要請。また事故は小学校で特に多いことから、児童の危険に対する判断の未熟性、冒険心的な行動など児童心理に十分配慮することが必要としている。
具体的にはふだんから防火シャッターを設置している位置と作動する際の危険性を児童・生徒に対して認識させ、そのため1感知器と連動する防火シャッターの設置目的と性能2閉鎖作動の状況3閉鎖の所要時間と危険性4重量による破壊力5閉鎖時の避難ドアからの安全避難−−の5項目について児童・生徒に学習させることが重要だと強調している。
また機能の改善については作動時の注意喚起と危害防止機構を備えたシャッターへの改善を示し、特に注意喚起については、「作動時に音声によって危険を知らせる装置の設置」「点滅や回転する注意灯の設置」「シャッター両面の全体の高さの半分以下の位置に危険を知らせる文字、イラストなど目立つ表示を行う」「シャッターの降下位置の表示」−−の4つの具体策をあげ、うち文字とイラスト表示、降下位置の表示については各校で実施するよう求めている。
また維持管理についてもシャッターが機械的、電気的設備であることから日常的な点検はもちろん、専門業者などとも連携して定期点検を行うことが必要と指摘している。
(教育家庭新聞98年11月14日)