運動能力依然として低下 文部省「体力・運動能力調査」
ー 運動能力過去最低にー
調査開始以来、運動能力が過去最低値を記録−−文部省が「体育の日」を前に発表した1997年度「体力・運動能力調査」によると、小・中・高校生の体力と運動能力の低下傾向が依然として続き、特に柔軟性と筋力がほとんどの年齢で10年前を下回っていることがわかった。中でも高校2年生である16歳男女を見ると、12種目中4種目で調査が始まった1964年以来最低値を記録した。
同調査は東京オリンピックをきっかけに始まったもの。全国の小学生1年生から59歳まで、約7万6800人を対象に行われたテスト結果を集計・分析している。体力診断テストは「反復横とび」「垂直とび」「背筋力」「握力」「伏臥(ふくが)上体そらし」「立位体前屈」「踏み台昇降運動」、運動能力テストは「50m走」「走り幅とび」「ハンドボール投げ(小学生はソフトボール投げ)」「懸垂腕屈伸(小学生と女子は斜懸垂腕屈伸)」「持久走」の12種目。
これらの結果を10年前の87年のデータと比較したところ、中学2年生の13歳男子と同3年生の14歳男子を除いて各年齢のほとんどの種目で値が下回り、中でも16〜18歳の女子では、筋力の強さを示す「握力」(26・0キロ、25・9キロ、26・8キロ)と「背筋力」(72・5キロ、75・7キロ、78・2キロ)、体の柔軟性を示す「伏臥上体そらし」(52・2センチ、53・4センチ、53・7センチ)と「立位体前屈」(11・6センチ、12・1センチ、13・2センチ)で、昭和40年の調査開始以来の最低を記録した。この4種目については、16歳男子も過去最低の値となった。
小・中学生を見ると記録の低迷が目立ったのは投げる力。小学5年生の10歳男子のソフトボール投げは、25・3メートル、同6年生の12歳女子では17・1メートルと約4メートル短かった。また小学生低・中学年の6〜9歳の投げる力についても全体的に低くなってきている(グラフ参照)ことが判明した。
(教育家庭新聞98年10月24日)