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なまけずに「学ぶ」ことで幸せに
生涯「学ぶ」人たちを応援したい

相模国四之宮前鳥神社宮司 神代春彦

就職活動に勝つ「就職守」を授与

神代春彦さん

 神奈川県平塚市に前鳥(さきとり)神社という神社がある。延喜式神名帳にも載っている古社であり、相模の国の四之宮である。こちらではこの度、就職活動に苦労している人に夢を叶えてもらおうと、就職活動に御利益のあるお守り「就勝守」を1月下旬から授与することにした。就職成就のお守りというのは、おそらく初めてだろうということだ。


 前鳥神社は菟道稚郎子命(うぢのわきいらつこのみこと)、大山咋命(おおやまくいのみこと)、日本武尊(やまとたけるのみこと)の三柱をお祀りしている。宮司の神代春彦宮司は「主神である菟道稚郎子命とは、第15代応神天皇の皇子のお一人で、皇太子となったのですが、お兄様に皇位を譲るために自ら隠れた(自害)されたと言われています。しかし、その時に一族を引き連れてここ平塚の地に移り住んだとこちらでは言い伝えられています」と話す。


 日本書紀や古事記では、非常に聡明な皇子で、百済王が応神天皇に貢進した論語や千字文といった当時の最先端の知識を、王仁博士に学んだということで学問の神様として祀られている。様々な技術や技能を、日本に伝えて、日本の産業や技術の発展に貢献した渡来人を保護したと伝えられている。

 「学問の神様ということで、以前から、医師の国家試験、公認会計士、税理士といった資格試験や、警察官の昇進試験などに通りますように、というお願いは結構ありました。もちろん、就職試験に合格しますようにというのもありました」


 神代宮司は、最近の就職難に心を痛めていたという。今年は大学生4年生でまだ内定をとれない学生が増えている。高校生には就職先が決まらず、仕方なく進学する生徒もいるといった話を聞き、何とかそのような学生に、神社の御利益を通じてお役に立てないかなと考えた。
 「世相をみて、就職を希望している方にも手をさしのべて、ご利益を受けて頂き、自分の夢を叶えて頂ければ」と思い就勝守を授与することになった。
 前鳥神社には付属幼稚園があり、330名余りの園児が在籍している。神代宮司は幼稚園の運営にも尽力してきた。園児たちについてどのように感じるか聞くと「子どもは子どもで時代が変わっても変わらない。それより、育った環境の影響が大きいと思います。おじいちゃん、おばあちゃんがいる、あるいは、商売をしているおうち、銀行員のおうち、そうした環境でかなり変わってきます」


 神社も幼稚園も目標は一つ、「皆さんに幸せになって頂きたいということ」と語る神代宮司。幸せになるためには、なまけず、学生は一生懸命勉強をし、社会人はしっかり仕事をする。それぞれの立場で努力をする、学ぶということはそれぞれがその人の人生を幸せにする。


 「学ぶ人を応援する。生涯が学びだと思う。学ぶことを大事にして、そうした人を応援したい」とのおもいが、就勝守には込められている。

 神代春彦(かみしろ はるひこ)=國學院大學文学部神道学科卒業。寒川神社に奉職。1983年、前鳥神社禰宜に就任し、2003年に前鳥神社宮司に就任。翌年からはさきとり幼稚園の園長も務めている。趣味は音楽鑑賞、楽器演奏で、雅楽器のほかにエレクトーンやドラムも演奏する。入園式では腕前を披露したりすることも。神社本庁参与、神奈川県神社庁相模中連合支部長などを務める。

【2010年1月16日号】