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受験は日常生活の延長線上に
家のお手伝いは勉強に必ず生きる

名門指導会主宰 西村則康

塾ソムリエが本を出版

西村則康さん

 首都圏で6万5000人が受けている「中学受験」。公立の中学校に進学するだけではなく、将来を見据えた豊富な選択肢があるなか、Webサイト「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」(http://www.e-juken.jp/ 運営潟Xーパーウェブ)の主任相談員を務める西村さんは、1975年頃の進学塾ブームから一貫して子どもたち、保護者たちへ向けた受験勉強及び心のケアを行い、今では「塾ソムリエ」とも呼ばれている。

 「どのような塾がブームを乗り越えてきたかと言うと、ほとんどが大量演習・繰り返し学習を続け、それに耐えた子が合格するシステムの塾です」。だが、この状況は子どもたちの心を潰してしまう可能性もはらんでいると指摘する。その指摘は、大学1年生から家庭教師のアルバイトを始め、さらに3年生で仲間と共に塾を立ち上げた「経験」の賜物だろう。

 都内で塾業を始めて20年ほど経ち、親の介護のため兵庫県へ戻った西村さんは、これまでの経験を買われ大手進学塾で教務部長を務めた。その時、他の大手塾の教科主幹たちと話をしていくうちに、それぞれの塾は確かに大量演習型ではあるが、その色合いには濃淡があり、教材の質にも難易があるため、個々の幼少期の体験・学習の基礎訓練の程度に応じて塾を選ぶ必要性に気がついたという。

 そして、数年経ち再び上京した西村さんは、初心に戻り家庭教師を始めた。若い母親たちは、人生の先輩である西村さんに、学校のこと、塾のことなどを相談してきた。数多くの相談を受けてきたことで、「本当に必要なことが見えてきました」と語る西村さんは、その相談事例をもとに、通学する塾別に対策方法を練りながら、個々に応じた授業を展開している。

 一方、家庭教師としての活動も続けている西村さんがまず見るのは、「鉛筆の持ち方」。「手首が返っていたり、親指がかぶさり、横線を描くのが苦手な子どもたちが増えています。算数の応用問題は、線分図などを描くことが理解につながるため、横線の描き方は解答スピードに関わります」。同時に、学校と塾は補完関係であることも重要だ。「受験勉強は進んでいくものですが、学校では後からそれをなぜだろうと理解できます。そこで重要となるのは人の話を謙虚に聞ける姿勢です」。これらは「基礎習慣」の重要性が大きく作用しているという。

 また、受験では本人だけではなく父親・母親はそれぞれの役割もある。父親は、母親仲間からの「不正確な情報」に悩み子どもの欠点ばかりを見てしまう母親たちの心の安定を図る存在として、母親は心身共に子どもの様子をみてあげて、情報の取捨選択をしてあげる存在として支えてあげることが重要だ。「私が願うのは、日常生活の延長線上で受験勉強をして欲しいということです。家の手伝いは体験学習の良い場面であり、勉強にも生かせます。正しい勉強は、必ず将来的に役立つ考え方、物事を自分に引き込んで考えていく力が身につくはずです。そのために、私は今、第三者的な立場でウェブサイトの運営を始めとした受験勉強を見守っています」。

 西村則康(にしむら のりやす)=1954年兵庫県出身。75年都内で進学教室の設立に参加、95年関西の総合進学塾で関西地区中学受験部門部長となる。その後個別指導塾への転職を経て東京で家庭教師として活躍。さらに「中学受験情報局」で保護者の無料相談に応じている。「中学受験『かしこい塾の使い方』なぜ、ウチの子だけ合格するのか?」(マーケティング・トルネード)刊行。

【2009年6月20日号】