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INTERVIEW
美容世界の職業人を育てる
トニーズコレクション代表取締役社長
トニータナカ さん

現場を踏まえた「職業人」を輩出〜美容の世界から本物の社会作りを
トニータナカ氏
 メイクアップアーティストとひと口に言っても、普段のメイク、映画・舞台・TV用のメイク、ウエディングメイク、特殊メイクとさまざまあり、その世界は奥深い。と言っても、この言葉が日本で使われるようになったのは、戦後のこと。アメリカでは、1800年代からハリウッドの映画事業の成長と共に、この職業が確立されていった。

 欧米では、舞台や映画でメイクアップに従事する人が化粧品を作るが、日本は化粧品ブランドという枠からスタートすることが多い。「欧米では、職人という意識が強く、職業の養成に関する認識が日本と全然違います」とその違いを肌で感じてきた。

 それを踏まえ、現在トニーズコレクションでは、ビューティーサロンからスクール・ウエディングまで、メイクアップに関するあらゆる分野をサポートしている。

 「食育・服育などのように、私は美容育を教育に取り入れ、職業という考え方と女性の美容の在り方を教えていきたいと思っています。大人と子どもには違う世界観があるということを、日本の子どもたちに理解して欲しいです」と話すトニーさん。この秋には、神奈川県の高校で講演を行い、職業としてのメイクアップを伝える。

 そんなトニーさんが将来を決めたのは、まだ10歳の頃。「テレビで見たアメリカ映画がきっかけでした」。「姉の影響がとても大きいです」と語るように、お姉さんの仕事の関係で松竹の撮影所に足を運ぶ機会があった。「こういう仕事に就きたい」と確信し、小・中学生の頃は近所の美容院を手伝った。

 そして高校2年生の時、日本のメイクアップアーティストの先駆者「シュウ ウエムラ」氏のアトリエに住み込んだ。その後、アメリカを中心に映画業界等で活躍した。

 現在は、自身が持つスクールで後進の育成にも力を入れている。1960年代後半に自宅に作った寺子屋のようなアトリエから始まり、映画・TV・舞台・ウエディング・サロンなど各分野で教え子たちが活躍している。

 「職業人を育てる」という考えのもと、教員が教えるだけではなく、トニーズコレクションの現場を踏まえ、より実践的な指導を行っていく。「知識を知恵・クリエイティブな発想に変えてあげて下さい。それを行動に移せるようにすることが必要です。バーチャルの社会になりつつある今だからこそ、本物に触れ合う機会を与えてあげましょう」。美容の世界から、そういう社会を作っていくことが当面の目標だ。

【プロフィール】
トニータナカ=1948年東京都出身。20歳の時、日英米合作映画でメイクアップを担当し、ハリウッドでビューティーメイクとスペシャルメイクを経験。帰国後TV・雑誌・映画などでマルチな才能を発揮。過労が原因で倒れたことがきっかけとなり、心と体の癒しを集大成した「HOLISTIC BEAUTY」を確立。総合的な美容・健康法の普及活動やウエディングプロデュースを行う。


【2006年10月14日号】