遺伝子組み換えバイオ食品

ジャガイモなど認可

 

 遺伝子組換えなど、近年のバイオテクロノジー技術の進歩には目覚ましいものがあるが、さきごろ厚生省では、食品メーカーから申請を受け、厚生大臣名で食品衛生調査会に諮問していた組換えDNA技術を応用して製造された食品十二品目と食品添加物一品目のうち、八品種の食品と一品目の食品添加物について、同調査会がそれぞれ「組換えDNA技術応用食品・食品添加物の安全性評価指針」にそって安全評価が行われていると判断したことを受け、申請者に対して「厚生大臣による安全評価指針への適合を確認した」との通知を出すことを決めた。これによって、わが国の市場にも遺伝子組換え食品が並ぶことになった。

10品種以上テスト

組換えDNA技術とは、ある生物から取り出した遺伝子を、改良しようとする生物に組み込む技術のこと。作物に応用した場合、これによって耐病性、耐虫性、除草剤耐性、ストレス耐性、日持ちの良さなどが高まることからわが国でも十品種以上の試験栽培が行われている。特に欧米では盛んに行われナタネ、大豆、トウモロコシ、ジャガイモなどの商品化が目白押し。“先進国”のアメリカでは二〇〇〇年までに、五十品種もの組換え農作物の商品化が見込まれている。

DNA技術の進歩で

 これまで厚生省では、平成三年に安全性評価指針を策定し、組換え作物そのものを食用としない場合についてのみ、安全性を確保してきたが、近年のDNA技術の進歩と世界的なすう勢から、昨年八気に同指針を改定。直接食べるものについても安全性を確認する方針を取っていた。今回の八品種一品目は、その初めての安全評価となる。

今回報告されたのは、いずれも欧米のメーカーが開発した技術が使われたおり@土壌中の微生物から得られた、特定の除草剤の働きを阻害するタンパク質を産生する遺伝子を導入した「除草剤耐性作物」(トウモロコシ一品種、ジャガイモ一品種、綿一品種)A生物農薬として使われている微生物から得られた特定の害虫だけに影響を与えて、ヒトを含むほ乳類には影響しないタンパク質を産生する遺伝子を導入した「害虫抵抗性作物」(トウモロコシ一品種、ナタネ四品種)。

安定収穫とコスト減

 食品添加物はパンやお菓子、デンプンなどの製造過程に使われるα|アミラーゼが一品目となっているが、厚生省ではいずれも「除草剤や殺虫剤の使用量・散布量を減少させることができるので環境保全にも役立ち、コストの低減や安定した収穫などの効果も期待できる」としている。

 組換えDNA作物について一部には、遺伝子という未知の部分を人為的に操作した作物の安全性については疑問という声があるものの、今後これらの作物が食卓に増えてくることが予想される。

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