選択性の給食で自己の栄養管理

1カ月分の献立を自分で

 千葉県船橋市の中学校では、生徒が2種類の学校給食の献立から好きな方を選ぶという選択方式を行っている。A、B2種類の献立が書かれた1か月分の献立表から、メニューの選択を子どもたちそれぞれが行い、マークシートに記入して提出する。給食を選ばずに、弁当を持ってくることも可能だ。この登録は、実施月の1か月前に行われ、これをもとに、食材の発注から給食費の計算などすべてパソコンによって処理している。

 A献立は、ご飯を主食とした和食中心のもので、B献立はパンや麺類を中心とした洋食中心のもの。エネルギーとたんぱく質も記入されており、どちらもほとんど変わらない値となっている。
 運動部に所属している男子やご飯が大好きという生徒で毎日Aを選んでいる場合もあるとのことだが、毎日のメニューを見て、好きなおかずやフルーツのある方を選んだりと、じっくりと考えて1か月分の献立を決めていく。カレーやシチューといった人気メニューの時などは一方に偏り、ABの比率が2対1の割合になるときもしばしばあるという。栄養士はあまり偏りがでないよう、人気のあまりない煮物などを出した場合は、そちらに人気のデザート類を付けたりという工夫もしている。

 市内の全中学校は、これまで弁当持参のミルク給食の形態をとっていたが、平成5年から徐々にこの形式で給食を開始し、現在市内27校中23校で実施している。中学生の発達段階に応じた理想的な給食のあり方として、この選択制が導入され、また調理場の新設と同時に全中学校に全校生徒と教職員が一堂に会して食事できるランチルームが、改築や増築された。
 市内の北部にある三山中学校は、この形態で平成8年度から学校給食を開始している。お昼のチャイムがなると、生徒が食券を手にランチルームに集まってくる。ABそれぞれの入り口の前に並び、調理員さんによってすでに食事が盛られた食器をトレイの上にとっていく。そして配膳されたトレイを持って、ランチルーム内の好きな席に座って思い思いのグループで集まって食事をとる。学年やクラスの枠のない自由な空間。生徒の中に教職員の姿もちらほらと見える。自分の担任ではない先生や外国人講師の先生、学年間のコミュニケーションをする場にもなっているという。全員そろっての「いただきます」もなく、食べおわった生徒は順次片づけて教室へ戻っていく。まるで大学のカフェテリアのようだ。他の中学校もほとんどが座席指定を行っていないという。

 昨年度のデータによると給食を選択する生徒は96・7%と、ほとんどの生徒がA、Bどちらかの献立を選んでおり、お弁当は少数派である。アレルギーや保護者の考えで毎日お弁当を持参している子もいれば、たまにお母さんの手作りのお弁当が食べたいからという感じで、1か月のうち何日かをお弁当にしている子もいる。
 毎日の献立を自分で選択することで献立名を覚えるようになったりと、食に関心をもつようになり、自分の体の健康ということも自覚する機会にもなっている。家庭科や保健体育などの授業でもこの2種類の献立について取り上げたりと、指導の面でも一役かっているようだ。

教育家庭新聞(99年6月12日号)