全国46道府県で実施

食生活に関する教育実践事業連絡協議会

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 平成12年度食生活に関する教育実践事業連絡協議会が、今月15日に国立オリンピック記念青少年総合センター(東京・代々木)で開催され、各県から指導主事や学校長、教諭、栄養士ら173名が出席した。今年から3か年計画で実践されるこの新規事業に関して文部省からの説明が行われ、その後、秋田県、岡山県が事業計画について概要から組織作りなどについて報告した。

 これまでの栄養教育推進モデル事業はいくつかの地域を指定して行われてきたが、今回の事業は東京都を除く全国46道府県において実施されるものである。
 協議会では、まず米満裕学校給食調査官が、事業の内容等について説明。子どもの肥満傾向や朝食欠食率の高さ、数々の問題行動と食の関係について指摘した上で、児童・生徒の頃に健康を考えた食生活を送る能力を獲得することが必要であると述べた。そのために、学校給食を中心とした食の指導は重要であるとし、「体の健康」、「心の育成」「社会性の涵養」、「自己管理能力の育成」という4つの視点から食に関する指導を進めていってほしいと述べた。
 各県から提出された事業計画書について、事業を行う上での留意事項を挙げた。運営委員会は必ず設置すること。食生活調査などを行う場合は十分に家庭のプライバシーに配慮をすること。モデル校の設置に関しては、約8割以上の道府県で実施が決定しているが、農村部や離島の学校と都市部の学校に設置して実践内容を比較したり、広い地域での実践を行うなど工夫をしてほしいことなどを挙げた。
 今回の事業では、新しいことを実践していくことも必要であるが、いままで培ってきた実践を再構築し違う視点から捉えていくことも大切であるとした。また食の指導に関してのパソコンの活用率は全国的にまだ低い状況であるが、給食センターと学校とのオンライン化やインターネットの接続、ホームページの開設など、もっとパソコンを活用することで、より大きな効果を期待できるとした。
 続いて金田雅代学校給食調査官は、これまでにも行ってきた食に関する指導が日常化していかないことを指摘した上で、「なぜ、今、食に関する指導が求められてきたのかということを十分に考えて実践してほしい」と述べた。子どもたちに食生活の指導を行う上で、まずは教員や保護者が理解することが求められる。ただ講演会やシンポジウム、料理教室などを行うだけでなく、それらに参加したことによって各家庭がどのように変わったかということをまとめてほしいとした。
 また学校栄養士ならではの指導とはどういうものか、授業にどう関われるのかを検討し、これまで行われてきたモデル校の実践をそのまま行うのではなく、それぞれの地域、学校でオリジナルの指導を展開してほしいと述べた。

実践計画を報告
 秋田県では、これまでにも多くの食の指導に関する事業を行ってきたが、なかなかそれが根づかないことから、教員らの食への意識を高めることが重要であるとした。社会のニーズを学校に伝えるために、「秋田健康21事業」や「すこやかジュニア21」など食生活に関する県の他の事業と関連性をもたせて学校外からの要請を押し出していくこととした。
 岡山県は、モデル地域として指定された美星町の実践計画の内容について報告。同町に幼稚園・小学校・中学校が1校ずつしかないために一環教育ができることや、農業地帯であることなど地域の特性を生かした実践を行っていきたいとのこと。
(教育家庭新聞2000年5月20日号)