養護教諭のホームページ特集

【保健室って楽しいぞ】【小さな保健室へようこそ】【保健室のおばさん】【みんなの保健室】
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 「養護教諭」「保健室」と検索すると、多くのページにヒットし、そのネットワークの広さに驚く。今回の特集では、メーリングリストやオフ会など、新しい情報網についても取材した。

健指導内容を公開したホームページ【保健室って楽しいぞ】

「仲間がいる」心強さ
熊本・小学校 澤 栄美先生
http://www.infobears.ne.jp/athome/e-sawa/index.htm


 保健室での指導や保健室の様子をまとめた「保健室って楽しいぞ」のページと、養護教諭としての自分自身の意見やメーリングリスト(ML)の情報を知らせる個人ページ「ようこそ澤栄美の部屋へ」の2つのページを作成している熊本県内小学校の養護教諭、澤栄美先生。
 学校がパソコン通信モデル校になったことをきっかけに本格的にホームページ作成にとりかかり、さらに市内のコンピュータ研究会のMLに入ったことで、養護教諭のMLを作り始めた。最初は県内の知り合いの先生方11人で始めたMLだったが、現在では北海道から沖縄まで100人以上の養護教諭が登録しているという。会員はすべて養護教諭。養護教諭に限定した理由は、同職種同士でしか話し合えないこともあるのではないかという想いのもとだ。

 MLで話し合った内容で差し支えのないものは、澤先生のホームページ上に随時掲載し、養護教諭以外の人からも意見をもらっている。ひとつのテーマについて次々と多くの意見が寄せられているが、地方地方によって色々な実践があり、校種の違いで意見も様々で勉強になることが多いという。「全国の先生方との情報交換の場というのは本当に機会が少ないです。同じ地域の先生同士でさえ、そんなに頻繁に会うことはできませんからね」と澤先生。「その日に思ったことや疑問に感じたことをすぐに言えて、それに対しすぐに反応が返ってくることが嬉しい。何かあっても仲間がいるという心強さを感じることができます」。

↓OFF会の様子
 澤先生は、MLなどを通して知り合った先生と実際に会うオフ会も年に何度か実施している。鹿児島や熊本のように近い県では、夏休みに合同の研修を行っており、全国レベルの研究会があるときには、呼びかけ合って参加し、研究会の前に会って資料を持ち寄り、紹介しあったりもしている。「同じ地域だけでは得られない情報も交換できます。またなんと言っても直接会うことで、ネット上での付き合いも深まります」。
 今後は、オンラインで勉強会を行っていきたいという。「地方では、中央に比べると大きな研修会も少なく、なかなか専門の先生のアドバイスを受けて勉強することもできませんから、そういったことがホームページの掲示板などを使ってできればいいなと思っています」。ホームページについては、不特定多数の人に知らせるというよりも、ターゲットを絞ったり、養護教諭として特定の相手との交流を目的として使用していきたいとのこと。

小・中・高別で特色あるページ【小さな保健室へようこそ

保健指導のきっかけに
宮城・小学校 熊谷陽子先生
http://com.myswan.ne.jp/~mya02612/

 保健指導に関する情報が満載のページ。「パソコンを使った保健指導・学習」では、むし歯や背骨の話などが画像付きでわかりやすく解説されており、小学生が一人で見ても学習できるようにつくられている。その他、指導案など掲載された保健指導集や、保健学習・指導に関する資料集など関連機関へのリンクも充実。
 
 1自分とは違う視点を持った沢山の人に自分の実践を見てもらい意見をもらいたかった。そして保健指導・保健学習を含めた養護教諭という仕事を自分なりに見つめ直してみたかった。
 2今まではやるべき保健指導・授業がそこにあると思っていたにも関わらず、何かと理由をつけ、または、ついつい流されて結局は何もしないで終わることが多かったのだが、HP上で、「パソコンを活用した保健指導・学習」を公開しているため、積極的に取り組めた部分がある。これを後押ししてくれたのは、私の実践に対して意見を提示してくださったすべての方なので、感謝の気持ちを忘れないようにしたい。
 3「火曜の会・保健室」という養護教諭のMLを、KiT作成者のぱすかるさんという方に、立ちあげてもらった。全国の養護教諭の方と情報交換できる場を作ってもらった。会員はまだ少ないが、集団かぜの話題や保健のソフトの話題、または「最近、スランプ気味で…」などというような話題も出せて、何でも気軽に話せる喫茶店のような感じで、ほっとする。そんな場もネット上では必要だと思う。
 4昨年度はちょっとおカタいHPに傾いてしまったけど、もっとHP上で、本来の自分を出していきたい。マイペース・気軽に・楽しく、をモットーに運営していきたい。

【保健室のおばさん】

不登校児へ情報発信
京都・中学校 伊藤晴美先生
http://member.nifty.ne.jp/hokeoba/

 ばんそうこうや、湿布など子どもが求めてやってくるものベスト10をまとめた「保健室の人気者」や、子どもたちのアンケートをまとめた「保健室ってどんなところ?」などユニークなページが多い。歯の指導をまとめたページでは指導後の子どもの感想などもまとめている。心と体の健康相談のページでは校内外から相談を受けている。
 元々は本校の不登校生徒がインターネットに興味を持っていることを知り、その生徒へ保健室の情報を届けたくて作成しました。
その生徒は昨年卒業しました。その後はマスコミなどで報道される中学生の姿は真実とどこか違う、もっと彼らの素敵な側面を多くの人に知ってもらいたい。そんな思いで保健室での出来事や中学生たちとの関わりの中で日頃感じていることなどを紹介しています。
 健康相談室のコーナーには性に関する質問がよく寄せられます。タブー視されがちな話題ですが、ネット上だからフリーに話せる部分もあるようです。正しい情報源がとても少ない中でネットの果たす役割は大きいと思います。直接授業への利用などはありませんが、コンピュータ学習の際には、
本校の生徒達もアクセスをしてくれています。
 ネット上の情報交換の場、意見交換の場として非常に有効だと思います。しかし、メンバー数に対して実際の書き込み者は2〜3割程度というのが一般的なメーリングリストのようです。活発に書き込みされるようにするには管理者による運営上の工夫も必要だと思います。その点が難しいですね。
 私的には、メールマガジンを紹介していただきたいです。発行は月1回(目標、実際には2ケ月以上開くこともあります)で、保健室での出来事や、読者からの相談、質問、意見に対するコメントなどを載せています。毎回読者から感想のメールなど反応もホームページ以上に返って来るのでみなさんが保健室や学校にどんなことを期待されているのかを知る良い機会となっています。

【みんなの保健室】

多くの悩みに対応
大阪・高校 宮永啓子先生
http://www01.u-page.so-net..ne.jp/jb3/k-selena/


 相談コーナー「ハートにバンドエイド」では、高校の養護教諭のページということもあってか、性に関する悩みや友達関係に関する悩みなどが多く寄せられ、宮永先生のアドバイスとともに掲載されている。「ある日の保健室」では、保健室の日常が綴られており、その他、健康チェックや病気について知りたいことなどを、自分で調べられるように専門機関へ多くのリンクがはられている。
 ◇ 
 1私自身が養護教諭であるという特性を生かし、訪れてくださった方がホッとできるような空間を作りたいと言う思いと、養護教諭として生徒たちとともに今まで歩んで来られたことの喜びを形に表したかった。
 2幅広い年齢層の方々とのやりとりや、各校の養護教諭の先生方と情報交換したり、今まで自分の知らなかったいろんな分野の方々と交流する事ができ、大きく世界が広がったような気がします。
 3自分の読みたいときに読んで、意見を言いたいときには自由に参加できる気軽さがいいと思います。知りたい情報も、多数の方から教えていただけるという利点もすばらしいですね。
4忙しさに追われ、なかなかホームページも更新できませんが、これからも、できる範囲で充実させ、来てくださった方々の心が少しでも元気になって下さるようなページづくりを心がけていきたいと考えています。
(教育家庭新聞2000年3月11日号)