昨年8月10日に「歯科口腔保健の推進に関する法律」が公布・施行されたことを記念して、(社)日本歯科医師会は、2月11日、東京国際フォーラムで「生きる力を支える歯科医療の実現に向けて」をテーマとしたシンポジウムを開催。パネルディスカッションなどが行われた。
それぞれの立場で活発な意見が出された |
「歯科口腔保健の推進に関する法律」は、歯科保健に関する施策を総合的に推進するため、国や地方公共団体などの行政、歯科医療関係職種、その他の関係職種の責務などについて規定している。
生きる力を支える 歯科医療の実現に向けて
シンポジウムでは、料理研究家の辰巳芳子氏と日本歯科医師会会長の大久保満男氏が「食といのち」をテーマに対談。
安全で良質な食材を次世代に残すための活動を行っている辰巳氏は「自分のいのちの目指すところを生涯にわたって模索し続けるのが人であるが、今の日本人はそれがおろそかになっているのではないか」と語る。
その言葉を受け大久保氏は「8020運動のように、20歳の若者が60年後の生き生きとした自分を想像してみるのが人生の歩みではないか」と健康で生き続けることの大切さを説いた。
中1生のむし歯 11年連続最少の新潟
パネルディスカッションは読売新聞東京本社 編集局医療情報部部長の南砂氏をコーディネーターに、新潟県知事の泉田裕彦氏、デンソー健康保険組合常務理事の赤塚俊昭氏、(社)北海道歯科医師会会長の富野晃氏、厚生労働省医政局 歯科口腔保健推進室室長の小椋正之氏、(社)日本歯科医師会常務理事の佐藤保氏の5名がパネリストとして登壇。
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新潟県は国の法律に先駆けて平成20年に全国で初めて歯科保健条例を制定。泉田知事は、新潟県の12歳児(中学1年)のむし歯数が11年連続で全国最少となっていることを紹介した。
「新潟県の学校では給食後の歯みがきやフッ化物洗口などの取り組みが行われています。学校で出来たことを社会に出てから継続していくためにも、定期的に歯科検診に通う仕組みを作ることが大事だと考えます」
北海道は新潟県に続き、2番目に歯科保健条例が制定されたが、その背景には12歳児の平均むし歯数が47都道府県中43位など、口の中の状態が非常に悪く、道民の現状を改善する必要があったからと富野氏は語る。
「北海道は条例が制定されたことで、179市町村のうち28か所だったフッ化物洗口実施市町村は、80か所と急速に増加している」と条例の効果の高さを示した。
【2012年2月20日号】