教職員の業務を少しでも効率化することは、児童生徒や保護者・地域の情報を活用・共有していくことにつながっていく。(社)日本教育工学振興会(JAPET)は、7月28日に都内で「校務支援セミナー」を開催し、『校務情報化の現状と今後の方向性』及び『不登校・いじめを未然にふせぐ予兆管理』について講演が行われた。(共催/日本教育工学協会)
校務支援システムで 養教と出欠傾向を把握
教育関係者が参加 |
前半は、JAPETの森本泰弘・常務理事/事務局長が『校務情報化の現状と今後の方向性』について講演。森本氏によると教員1人1台のコンピュータ整備が進んだことにより、校務の情報化が整い始めている。
校務情報化の目的は、(1)学校業務の効率化、負担軽減(2)児童生徒情報の活用(収集・共有・分析)(3)保護者や地域との情報共有の3つで、それにより、児童生徒と向き合う時間や指導への反映など様々なメリットがある。
校務情報化のさらなる促進については、通常はICT関連企業が開発している「校務支援システム」を導入し、それをカスタマイズしていく。
健康教育に関する「校務支援システム」の使用場面は、例えば出欠席の日数を数えるだけではなく、養護教諭と共に休みがちな児童生徒がどのような傾向で休んでいるのかを把握することで、「登校拒否の予兆が見つかることもあるようです」と森本氏は話す。
予兆を見逃さないため 大人は「感性」を磨いて
岡田謙副院長 |
後半は、知っておきたい心の問題について、(医)青峰会くじらホスピタルの岡田謙副院長が『不登校・いじめを未然にふせぐ予兆管理』について講演。
講演の冒頭で岡田氏は、予兆を見逃さないことが“管理”であり、“管理”は守るためのものであり支配するためのものではないと説明。そして「この子、今日ちょっと変だな、というのを大事にして欲しいです」と述べた。
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予兆を見逃さないために大人は何をしたら良いのか。岡田氏は観察眼を研ぎ澄ますために“感性”が大切という。感性を磨くには、(1)自然にできるだけふれる(2)(物事を)流さない工夫(3)本物(芸術など)を見る、の3つがポイント。
そして、対人間関係を仕事の重要な部分としている人にとって一番大切なものは、「洗練された優しさ」であり、それは困難な局面に直面した時に、どう克服したかを学習した経験のある人が持つものであると説く。
心は実態があるが目には見えないもの。子ども達が発する「言葉・行動・身体」のサインを受け止める必要がある。「何かおかしいという予兆を見過ごさないためには、先生方の心のゆとりが大事。その子の本来の個性を早くキャッチアップして、利便性のあるシステムでチェックしていって欲しいと思います」。
【2011年8月22日号】