来月は「食育月間」。内閣府が昨年12月に実施した食育の現状と意識に関する調査によると、食育の周知度は74%、食育への関心度は70・5%と前回調査とほぼ変わりない。今年度から進められる「第2次食育推進基本計画」には、過去5か年の9つの目標に、新たに「朝食または夕食を家族と一緒に食べる“共食”の回数の増加」「よく噛んで味わって食べるなどの食べ方に関心のある国民の割合の増加」が加わった。食育は周知から実践へ進んでいく。
同調査は、食育に対する国民の意識を把握し、今後の食育推進施策の参考とすることを目的に実施されており、全国の20歳以上の男女に調査したもので、有効回収率は1853人。
早寝早起き朝ごはん運動など、国民をあげて取り組んできた朝食摂取。内閣府の調査によると朝食を「ほとんど毎日食べる」人は85・3%で前回調査の85・6%とほとんど変化が見られないが、「生活のリズムがとれる」「体調が良い」「朝、排便がある」「家族とのコミュニケーションがとれる」など、体調や生活の質を向上させると感じている人が多い。
一方で、「ほとんど食べない」と回答している人は7・1%にとどまっているものの、30代男性の20・1%を筆頭に、40代・50代男性と働き盛りの年代に「ほとんど食べない」人が多い。
20・30代の朝食摂取 5年程度で回数増加
しかし、この5年程度で朝食を食べる回数が変わったかという調査に対して、「増えた」と回答した割合は、男性の20代から40代、女性の20・30代が増加。その理由としては、「時間的に余裕ができた」「朝ごはんが用意されるようになったから」「朝お腹が空くようになったから」などのほか、若年層の男性では「友人・家族に勧められたから」という回答もある。
また、朝食回数の変化に伴う体調や気持ちに変化について聞いたところ、朝食頻度が増えた人は「大変良くなった」「少し良くなった」と69・3%が感じており、肯定的な変化を感じる傾向にあることがわかった。
さらに、家族と同居している人に朝食を家族と一緒に食べることはどの程度あるか聞いたところ、「ほとんど毎日食べる」は50・1%と前回調査とほぼ同程度だ。特に女性は朝食共食の割合が高く、男性の47・3%を5%上回る52・3%となった。
また、共食に関しては夕食についても調査が行われたが、「ほとんど毎日食べる」は前回(56・8%)とほぼ差異のない56・5%となった。こちらも朝食同様に女性の方が多く59・7%で、男性は52・5%。年代別では40代男性が30・8%と最も低い割合だ。
共食は精神的安心とQOLの向上に
共食に関してその利点について聞いたところ「家族とのコミュニケーションを図ることができる」「楽しく食べることができる」「規則正しい時間に食べることができる」「栄養バランスの良い食事を食べることができる」の順で回答が多く、精神面の安心感、生活や食事の質を向上させると感じている人が多いようだ。
共食の利点上位にもあげられている「食事バランス」については、主食・主菜・副菜を3つそろえて食べることが1日に2回以上あるのは、週に何日あるかについて調査されたが、「ほとんど毎日食べる」と回答した割合が70・3%と、前回の66・6%を4%近く上回った。
バランスの良い食事の頻度について、主観的健康度別に見ると、ほとんど毎日食べている人は、「とても良い」「まあ良い」と回答した人が7割以上を占めている。
また、噛み方や味わいといった食べ方の関心についての問いに対しては、「関心がある」「どちらかと言えば関心がある」を合計すると、全体の70・2%が関心を寄せており、特に大都市において関心が高い。
|
さらにその実践については、「よく噛んで、味わって食べている」と回答した人の割合は66・2%で、女性は7割(70・2%)が「よく噛んで、味わって食べている」と答えている。年齢別に見ると、男女共に70歳以上が「よく噛んで、味わって食べている」と回答している割合が高く、20代が第2位で、若年層への食育の期待が持てる結果となった。
なお、普段の生活でよく噛んで味わっている人ほど食べ方への関心が高く、さらに朝食を毎日食べ、バランスの良い食事をとり、メタボリックシンドロームの予防や改善のための食事・運動等の実践度が高い傾向にある。
また、日頃の健全な食生活を実践するため、何らかの指針等を参考にしているかという質問に対しては、「参考にしていない」と回答している人がまだまだ多く62・2%となった。
何らかの指針を「参考にしている」と回答した36・3%の人が主に参考にしているものは、「食事バランスガイド」が65・3%と圧倒的に多く、各年代でも50%以上を占めており、国民に「食事バランスガイド」が浸透しつつあることが伺えた。
【2011年5月23日号】