日本学校保健会が行っている、平成22年度健康教育推進学校表彰の最優秀校6校の取り組み事例を紹介する。
6年前の平成17年、児童の実態を踏まえ、「早寝 早起き 朝ごはん 歯磨き ハンカチ 朝うんち」をスローガンに年間を通じて同じテーマで健康教育に取り組んだ。
毎日排便する大切さについて、月1回の体重測定後に養護教諭が体の動きやメカニズム等を説明する「からだの学習」を実施。学んだ内容は、自作劇で児童保健委員会が発表。1年間のまとめは外部講師により実施した。給食残量は激減し、食事バランスを気遣う子どもたちが増え、朝うんちをする子が大幅に増加。
しかし、朝うんちの難しい子の多くは、就寝時間が遅いことがわかり、18年度からは脳の働きを通し、睡眠をテーマに取り組み、19年度は睡眠の質をテーマとした。
その3年間の実践をもとに20年度は自己課題解決に向け取り組んだが、達成度が低かったため、21・22年度はクラス健康目標を設定し、みんなで支え合って取り組んだ。
取り組みの継続により、欠席者、不調者、けが人が減少、さらに、子どもの学びが保護者の健康教育に対する理解へ広がり、協力的となった。
「夢チャレンジ100」を掲げ、元気・やる気・本気・根気・勇気の5つの「気」で夢の実現を目指している。
その中で、児童保健委員会は、「みんなの元気の応援団」をキャッチフレーズに、健康づくりのリーダーとして活動。
毎月第2水曜日を「保健の日」として、その月にあった健康づくりのポイントを撮影し全校放送している。11月の学校保健委員会には児童も参加し、医師によるインフルエンザの予防に関する講演を聞き、そこから学んだことを、12月の保健の日用にまとめた。
また、給食後の歯磨き100%実施を目指し、手作りの歯磨きカレンダーを作成。今年は100%を達成した他、ケガが多い状況を踏まえ、廊下や階段を走る危険性をビデオで紹介。校内でケガをしやすい場所を示した「石小安全マップ」を作成したことで、この3年間ケガが減っている。
また、学校保健委員会で児童の保健・運動・給食の各委員会が発表。学校医、保護者、児童の前で発表したことで、発表した児童たちの自信にもつながっている。
「自分を取り巻く心身の健康に関心をもち、進んで健康づくりができる児童の育成」を健康教育目標とし、重点目標を歯と食生活、あいさつ運動とした。
「拡大学校保健委員会」を年5回開催し、そのうち4回は5・6年生全員が参加。1回は中学校区4校の地域合同で実施。事前にアンケートや調べ学習で、できるだけ参加児童の意欲付けを行っており、学校医、学校歯科医、学校薬剤師も毎回適切な助言をしてくれる。
拡大学校保健委員会内では、体験を重視しており、今年度はするめとスナック菓子の食べ比べやグループでの標語作りを実施。学習プリントをもとに各家庭で「家族会議」を開き、その内容や感想を保健だよりに掲載。家庭への効果的な啓発活動となった。
あいさつ運動については、児童は学級でテーマを決め、保護者は「行ってらっしゃい」、職員は「ごめんなさい」について発表した他、児童は「あいさつ広げ隊」を組織し、交代であいさつ活動を続けることで、地域の人へのあいさつも進んでできるようになった。
知育・徳育・体育の3つのバランスがとれた時、強い意志が育つと考え、幅広い取り組みを粘り強く継続している。
学校教育全般で行われており、年間計画に基づいて保健指導・保健活動に取り組んでいる。毎月第1水曜日の朝20分間は、保健指導の時間を設け、また、年3回は親子で生活リズム確認カードをつけながら、基本的生活習慣の見直しを行う。
平成21・22年度には「広島市体力つくり推進モデル校」として体育の授業改善、指導工夫により体力アップを目指し「わかる・できる・のびる」体育科授業の向上と遊びの融合を図っている。
週2回、始業前の10分間はボール、ゴム跳びなどの内容を変えて行う「おはようタイム」を運動場で実施。その後、可部の山々に向かい、自校独自の「目のぐりぐり体操」を行っている。
年2回の学校保健委員会には、児童代表も出席。児童保健委員会は、校内の危険箇所についてマップを作成、「安全標語」「健康標語」の募集などで、安全や健康について意識を高める啓発活動を実施。
生活全般で健康を保障しようという意識のもと、連携して取り組むことを中心に健康教育を「元気づくり教育」として、「生活習慣・いのち・人間関係・体力向上」の4点を中心に心と体が元気になるよう計画。
1年生は理解する(30時間)、2年生は実践する(43時間)、3年生は個々に応じた実践(38時間)を目標に活動。
学校保健委員会では、学校歯科医、学校薬剤師、助産師などの講話や集会を行っている。年に3回「元気づくり集会」が開催されるが、「元気づくりノート」を配布し、元気とは何か、どんな生活をしたら良いかを考える。生徒は意見を出し合い11月と2月に発表する。
ノートの中では生活チェックを行い、良い点及び課題を考えて、その方法について目標を立て担任がチェックした後、保護者にも見てもらう。
その他、消防署員と連携した心肺蘇生法実習、熊本県牛乳普及協会と連携した骨密度測定など外部との連携、近隣の小学校での学習、幼・保・小との合同会議で一つの課題に取り組む。連携により多面的な指導が実現。
放課後の活動場所として、学童保育や児童デイケアサービスなどの利用が年々高まっており、地域関係者の出入りも増えているほか、地域の小・中・高校との交流も盛ん。
拡大地域学校保健委員会では、校内の取り組みを発表し、学校医から指導を受け、学校・家庭・地域が医療連携をしている。普段は、医師を怖がり病院へ行くことができない児童・生徒もいるが、学校では学校医、学校歯科医などのおかげで、安心した検診を行うことができ、心身共に相談にのってもらえる。
定期健康診断の結果等から、肥満の児童生徒の割合が高いため、平成10年に肥満指導を行う「すくすく教室」を開設し、継続している。保健室で体重と体脂肪を測定し、指導を受けるもので、学校給食によるすくすくメニューなどの対応も行っている。
平成22年度は標準体重に改善した3名がすくすく教室を卒業。校長室では、1年の取り組みの結果を表彰してもらう。活動の成果として、肥満の割合は平成14年度から減り始め、全体で16%減少した。
【2011年3月19日号】