TOP健 康>ニュース

生活習慣に活性化の鍵

第74回 全国学校歯科保健研究大会開催

全国学校歯科保健研究大会
4名のシンポジスト(左)と座長の黒田敬之氏

"教育活動の一環"がポイント

 「第74回全国学校歯科保健研究大会」が、10月28日・29日、茨城県つくば市のつくば国際会議場で開催された。70回大会から5年間を見通して「歯・口の健康つくりの総合的展開を目指して」の主題が設定されており、今回はその総括の年となった。(主催/文部科学省、(社)日本学校歯科医会、(財)日本学校保健会、(社)茨城県歯科医師会、茨城県、つくば市、茨城県教育委員会、つくば市教育委員会)

 5年間の総括となる今年は、サブテーマを「『生きる力』を考える…学校・家庭・地域社会の連携の在り方」をサブテーマに設定し、子どもたちの「自律的な健康つくり」を推進するために、様々な討議が行われた。

 1日目は、開会式に引き続き、全日本学校歯科保健優良校が表彰された。さらに、岡山大学病院小児歯科講師の岡崎好秀氏が記念講演。

 また、「歯・口の健康つくりの総合的展開を目指して〜『生きる力』を考える…学校・家庭・地域社会の連携の在り方」をテーマに行われたシンポジウムは、東京医科歯科大学名誉教授の黒田敬之氏が座長を務め、東京都品川区立立会小学校校長の星野豊氏、(社)東京都小学校PTA協議会会長の新谷珠恵氏、(社)日本学校歯科医会理事の渡辺賢治氏、茨城県日立市保健福祉部健康づくり推進課主幹の佐藤由紀子氏がシンポジストとして登壇。
 立会小学校校長の星野氏は、冒頭に、学校歯科保健活動について「教育活動の一環であることがポイント」であり、それは日々の積み重ねでイベントではないという視点述べた。

 同校では、全国学力・学習状況調査の結果をもとに、全学年の成績上位者と下位者各10名の、歯・口の健康状態を調査。

  成績上位者のうち、むし歯が0本の児童は60名中44名であるのに対し、下位者は27名。未治療者については、前者が6名、後者が17名という結果となった。

  星野氏は「このようなデータをいろんな学校で出して欲しい。生活習慣の中に活動を活性化させる鍵があります」と述べる。そして、連携のためには活動を公開し、その時間を共有(参画)することが重要であるとした。
また、東京都小学校PTA協議会会長の新谷氏は、PTAとの連携について、PTA全体としての取り組み方針に課題を組み込むことで、全家庭・全保護者がその方向に向かう姿勢を持つとし、「まずは子どもにさせたかったら、宿題として課すこと。親にさせたかったら調査と公表、個別指導。学校にさせたかったら、歯科医や教委からの指導と要請が最も有効となります」と発表。

  保護者との連携について、座長の黒田氏から問われた新谷氏は、「家庭の養育機能が低下している親でも、子どもへの愛はあるはず。そこについて、どのように第三者がアプローチしていけるかが課題、第三者がモデルとなる、子ども自身に力をつけていくことが重要です」と答えた。

歯科保健優良校

 全日本学校歯科保健優良校のうち、優秀賞・日本学校歯科医会会長賞・日本歯科医師会会長賞は以下の通り。

【優秀賞】
千葉県・(学)薄永学園八街すずらん幼稚園、滋賀県・東近江市立能登川西小学校、宮城県・気仙沼市立唐桑中学校、茨城県・県立日立第一高等学校、沖縄県・県立泡瀬特別支援学校

【日本学校歯科医会会長賞】
大阪府・大阪市立菅南幼稚園、岩手県・二戸市立御返地小学校、岐阜県・山県市立富岡小学校、愛媛県・松山市立粟井小学校、栃木県・矢板市立泉中学校、埼玉県・川口市立南中学校、和歌山県・県立橋本高等学校、群馬県・群馬大学教育学部附属特別支援学校

【日本歯科医師会会長賞】
大阪府・泉佐野市立さくら幼稚園、埼玉県・羽生市立新郷第一小学校、長野県・駒ヶ根市立赤穂南小学校、岐阜県・御嵩町立御嵩小学校、香川県・丸亀市立栗熊小学校、北海道・滝川市立明苑中学校、青森県・つがる市立稲垣中学校、岩手県・花巻市立湯口中学校、同・県立福岡高等学校、東京都・都立羽村特別支援学校

【2010年11月13日号】