会場はほぼ満員となった |
子どものたちの健やかな成長にとって、自然体験・社会体験・生活体験などの様々な体験がいかに大切であるかを家庭や社会に伝え、様々な体験の機会や場の拡充など、体験活動の推進についての社会的機運の醸成を図る「体験の風をおこそう運動」のフォーラムが、7月16日に都内で開催され、科学的な視点から体験活動の重要性が発信された。
開会に先立ち川端達夫文部科学大臣は「今の子どもたちはバーチャルな話はたくさんあるが、実体験は極めて少ない。大切なことを実証し、意識してそれに取り組んでいかないと得られなくなってしまいます。幅広い実践活動が風となり大きくなることを期待します」とあいさつ。
日本学術会議会長で宮内庁皇室医務主管の金澤一郎氏による基調講演「体験によって脳は育つ」では、体験における脳の機能的な働きを説明。「最初の体験が非常に大事で、それが脳の構造に痕跡を残す」ことが医学的に解明されている。また、3歳くらいまでは安心と信頼を与え、3歳から6歳までは欲求を抑制することを学ばせ、6歳からは経験による自信をつけさせることが各発達段階において必要なことを説明した。
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後半のパネルティスカッション「子どもの育ちにとっての体験の重要性‐最新の調査研究を踏まえて‐」は、NHK解説主幹の早川信夫氏をコーディネータに、千葉大学教育学部教授の明石要一氏、文科省スポーツ・青少年局局長の布村幸彦氏他2名のパネリストが登壇、それぞれの立場から体験について語った。
明石氏は、今年5月に中間報告された「子どもの体験活動の実態に関する調査研究」についてふれ、子どもの頃の体験が豊富な人ほど、最終学歴が大学や大学院と回答した割合が高いこと、小学校低学年が一番体験活動で重要な時期で、特にその時期は「友達との遊び」、「動植物との関わり」をもつことが大切と述べた。
【2010年8月21日号】