開会式の様子 |
8月5日・6日、「第51回全国栄養教諭・学校栄養職員研究大会」が和歌山県和歌山市で開催され(主催/文部科学省・和歌山県教育委員会・(社)全国学校栄養士協議会他)学校給食法の改正から1年が経過した今、「栄養教諭」がいかに食育の中核となり児童生徒と学校・地域を結ぶ存在となるかについて実践報告や討議が行われた。また、シンポジウムでは、長寿国日本の栄養士は研究を深め世界でその力を発揮できると意見があがった。なお、来年度は高知県で開催される予定。
1日目の全体会では、文部科学省説明、和歌山県有田川町の実践発表、日本の栄養教諭・学校栄養職員の目指すべき姿について討議された。
文科省・布村幸彦氏 |
【文部科学省説明】
栄養教諭を中核に関係教職員の共通理解と連携を
文科省からの説明は、スポーツ・青少年局の布村幸彦局長が述べた。
子どもたちが将来にわたって健康に生活していくことができるように、食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身につけさせること、また、食品の品質や安全性について正しい知識情報をもって自ら判断できる能力を養うことが課題とされているなか、学校給食法が改正され、昨年4月から本格的な実施を迎えた。
これは、「学校給食を活用した食に関する指導の充実」(食育の推進)と「学校給食の水準と衛生管理を確保するための全国的な基準を法律に位置づける」という2つの視点からの改正となり、文科省は、今年3月「食に関する指導の手引き」を改訂し、全国の小・中学校に配布した。
栄養教諭については、食育の実践的な指導を行うものとすると法律上明確に規定され、栄養教諭が中心となり、校長のリーダーシップが発揮でき、関係教職員の共通理解と連携が図れるようにコーディネーターの役割を果たすことが重要な課題。併せて、学校給食における地産地消の充実も法律に明確に位置づけられた。食育推進基本計画において、今年度までに食材ベースで30%以上の数値目標が掲げられているが、まもなく公表される平成21年度の数値では、26・1%とまだ地域により差が生まれている。
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また、「学校給食実施基準」も明確に法律に位置づけられたが、これは厚生労働省が策定した日本人の食事摂取基準を踏まえ定められており、昨年度、日本人の食事摂取基準2010年版が新たに策定されたことを踏まえ、文科省は、学校給食摂取基準の改定に向けた検討を進めているところだ。
近年の学校給食費未納の問題については、子ども手当ての支給に際し、文科省でも学校給食の意味・役割をいろんな形でPRし、映像資料も昨年度作成。来年度以降の子ども手当て制度の見直しに際して、できるだけ未納が解消できるよう、口座振替等の工夫など仕組みづくりに取り組んでいく。
最後に布村局長は「食事を通じて自らの健康管理ができる力を育成するためには、子どもたちが健全な食生活を実施し、健康で豊かな人間性をはぐくんでいくために一層のご尽力をお願いいたします」と激励した。
【2010年8月21日号】