新会長に聞く |
問題行動が起きる前の声かけ・気づきを
今年6月、全国養護教諭連絡協議会(以下:全養連)の会長に就任した堀田美枝子会長(埼玉県立浦和西高等学校養護教諭)に、現在学校が抱える学校保健の課題、それに伴い養護教諭は何をすべきか、さらに全養連の活動について伺った。
―今、保健室を取り巻く課題には、どんなものがあるのでしょうか
以前からある課題で、また、これだけが課題というわけではありませんが、アレルギー、性、喫煙・飲酒・薬物乱用などのさまざまな健康課題解決のための健康相談、保健教育がますます重要となってきています。とりわけ、社会環境や生活環境の変化と共に、コミュニケーションスキルが低下し、人間関係が築けないなど子どもたちの様子が変わっています。大きな社会問題になる以前に、子どもたちのSOSを発見するスキルが学校で求められており、同時に養護教諭に求められているものだと思います。子どもたちの問題行動は、自分を見て欲しい・認められたいという気持ちの裏返しです。カウンセリング能力を高め、問題行動へつながらないように、普段の学校生活の中で声かけや気づきのできる養護教諭であって欲しいと思います。
しかし、養護教諭が子ども一人ひとりに関わる時間が増え、さらには子どもだけではなく、付随して保護者、担任や学年の先生など多くの関係者と関わる時間も増えている現状があります。私たちも一生懸命子どもたちと関わっていますが、課題は山積しています。
また、特別支援教育が始まり、全体的な人数は少ないですが、コーディネーターになっている養護教諭もいますし、多くの養護教諭が支援チームの一員として関わっています。特に小学校の養護教諭はそのウエートが重いでしょう。
―その解決方法は
一人ひとりの子どもと関わる時間の増加は、毎年行っている調査研究の結果からも明らかです。本協議会としましては、児童生徒の数に応じて、養護教諭の複数配置を拡充することを継続して国にお願いしていきます。本協議会の調査では、複数配置は全国で2236校。本校も複数配置ですが、助け合うことで保健室を留守にせず研修などに出席することができています。
‐他に推進していく事業はありますか
養護教諭の管理職登用も引き続き推進していきます。現状では、養護教諭免許だけでなく、教科の免許を必要とする県もありますが、同じ学校で教員として働いているのなら、同じ条件で資格を取得できるようにするべきではという思いがあります。学校全体を見る立場の養護教諭ならではの活躍ができるでしょう。
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―その他今後の全養連の活動内容を教えてください
まず、7月29日、30日に保健室における養護教諭が行う「健康相談研修」、8月5日、6日に保健学習・保健指導の実践力を高めるための「保健教育研修」を実施します。他に、2年に1度発行の研究誌「瑞星」を、来年の1月に第7号として発行する予定です。昨年改正された学校保健安全法を受け、養護教諭が保健管理・保健教育・健康相談・組織活動でどのように実践しているか紹介していきます。テーマごとの全国的な事例ですので、先輩の実践をもとに、若い養護教諭は自分の場合は…と参考にして頂きたいと思います。
―全国養護教諭研究大会に向けてのメッセージをお願いします
全国研究大会は、各地域の貴重な実践を聞き、情報交換できる良さがあります。そこで得たものをさらにそれぞれの地域で広めて生かして下さい。分科会で発表なさる24人の先生は、1学期の健康診断の忙しい時期に資料を作って発表に臨まれます。
全国大会が専門職としてより一層の資質向上に役立つ研修会なることを願っています。
【2010年7月17日号】