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「いただきます」の習慣が
食育への関心を左右する

平成21年度食育推進施策に関する報告書

 内閣府は、平成21年度食育推進施策に関する報告書「食育白書」を公表した。これは食育基本法第15条に規定する「食育の推進に関して講じた施策に関する報告書」であり、政府が毎年国会に提出するもの。現状で、国民の食育に関する周知度は、言葉を知っていた人の割合が75・8%(平成21年12月)、平成21年3月調査では74・5%と、ほぼ変わらず横ばいとなっている。今回の調査では、新たに食育への関心度とさまざまな要因との関係を調査しており、食育への関心が高いほど、主食・主菜・副菜の3つを揃えたバランスの良い食事の頻度が高い傾向にあることがわかった。

「小学生の頃、『いただきます』『ごちそうさま』のあいさつをしていた」と
「食育への関心度」との関係
食育への関心度

 第1部は、「若い世代の食生活の改善」についてこれらの世代の食生活の現状と、大学、企業、地方公共団体における若い世代の食生活の改善を図る取組を紹介し、第2部では、平成21年度に講じた家庭、学校、保育所、地域における食育推進施策の状況等について記述。
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 今回は、新たに食育への関心度とさまざまな要因との関係が調査されたが、小学生の頃の食生活と食育への意識の因果関係が興味深い。
 「小学生の頃、『いただきます』『ごちそうさま』のあいさつをしていたと『食育への関心度』との関係」について見てみると、「あいさつをしていた」に当てはまる人の76・4%が食育に関心があると答えている(図表参照)。
 他にも「1日3食いずれも決まった時間に食事をとっていた」に当てはまる人の73・7%が食育に関心があると回答していることから、食に対する習慣が身についていた人ほど食育への関心が高い傾向にあることがわかった。

【学校、保育所等に おける食育の推進】

■学校における指導体制の充実(栄養教諭の配置)
平成17年度から配置されている栄養教諭は、平成22年4月1日現在全都道府県で3379人(文部科学省調べ)となった。国立大学法人においても、39国立大学法人で63人が配置されている。

■学校における指導内容の充実
(1)栄養教諭による取組
各教科等で学習する内容に食は幅広く関わっており、「食に関する指導の連携・調整」の要としての役割、学校給食を生きた教材として活用した「子どもへの教科・特別活動等における教育指導」を行っている。
学習指導要領の改訂により、小中高及び特別支援学校の総則において、「学校における食育の推進」が明確に位置づけられ、小中学校においては、家庭科や保健体育科等、関連する各教科当における食育の観点からの記述が充実した。併せて、幼稚園教育要領の改訂により、領域「健康」において、食育の観点からの記述も充実した。
(2)食に関する
学習教材の作成
文部科学省は、各教科や特別活動、総合的な学習の時間等における食に関する指導において使用する教材として食生活学習教材を作成し、全国の小学校低学年(1年)、中学年(3年)、高学年(5年)、中学生(1年)に配布し、その活用を促進している。
(3)食育を通じた健康状態の改善等の推進
文部科学省は、学校における食育の充実についての実践的な事例を取りまとめた「栄養教諭による食に関する指導実践事例集」を平成21年3月に発行し、教育委員会等に配布。

■学校給食の充実
 平成20年6月の学校給食法の改正により、学校給食の目標について食育の推進の観点からの見直しが行われた。併せて、「学校給食実施基準」や「学校給食衛生管理基準」を維持することが望ましい基準として文部科学大臣が定めることが規定され、両基準が法律上に位置づけられた。
 学校給食における地場産物の活用についても、その推進が積極的に進められており、平成20年度の活用率は、全国平均で食材数ベース23・4%となっている。
 農林水産省では、利用拡大を目指し、平成21年度から22年度までの緊急的な措置として「学校給食地場農畜産物利用拡大事業」により地場農畜産物の利用を拡大する献立を実証する際の原材料費の助成等を行っている。
 そのほか、米飯給食の一層の普及・定着に向けた取組、伝統的な食文化を継承した献立の活用についても、セミナーの実施や事例集の作成等を通じて推進している。


【2010年7月17日号】