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緊急対応マニュアルを作成

H21年度 「児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議」審議のまとめ

 文部科学省は、平成21年7月に「児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議」を設置、「遺された人に対するケアや学校としての危機管理」「背景調査の在り方」について検討を重ねてきたが、平成21年度の審議がまとまり、危機対応研究グループにおいては、「子どもの自殺が起きたときの緊急対応の手引き(案)」の検討が、背景調査研究グループにおいては、背景調査の設置・運営主体、調査委員会の委員構成、調査する事項と方法、報告書の作成及び公表といった検討課題について論点整理が行われた。

(1)遺された人に対する心のケアや学校としての危機管理の概要

 自殺の事後対応について、自殺全般の事後対応、児童生徒の自殺のこれまでの調査研究の内容や対応の現状、学校危機管理〜学校安全の観点から突発事態の事後対応、重大事件発生時の解決のイメージ等についてレビューを実施。
 学校で事故・事件が起こった際の問題点と対応方法の意見交換を実施したが、同様の事例でも状況の細かい違いによりとるべき方法が全く異なることから、学校危機への対応システムが十分整備されていない地域(※1)にとっては、事後対応のためのマニュアルが必要と意見が一致した。
 マニュアルは、全国統一の方法論として標準化しようというものではなく、マニュアルや体制が整っていない自治体が参考にして使用できるようにするもの。内容は、危機対応一般に役立つような内容に自殺の特殊性が加わるような形のマニュアルが望ましいと一致。
 マニュアルは、「危機対応の態勢」「遺族へのかかわり」「情報収集・発信」「保護者への説明」「心のケア」「学校活動」といった具体的な各論の問題についてとりまとめた。
 また、今後は生徒を対象とした自殺予防教育の必要性についての発言もあがった。
 ※1/教育委員会として学校の「危機管理マニュアル」を作成し学校に周知しているか調査したところ、都道府県・指定都市教育委員会では約7割だが、市区町村では約3割となった。

(2)背景調査研究グループにおける検討の概要

  実態把握調査によると、自殺の背景調査の主体は、都道府県・指定都市・市町村全てにおいて、学校が主体となり教育委員会が指導助言するケースが最も多い。
実施した自治体関係者へのヒアリングを踏まえ、個人情報に配慮したうえで、自治体に対して情報提供の協力を求める必要があり、今後そのための統一フォーマットを検討すべきと意見が一致。
今後、報告用フォーマットにはどのような項目を盛り込むか、学校からどの時点で報告する形とするか、協力依頼についてどのように学校・教育委員会に周知していくかが検討課題とされ、引き続き今年度も検討を継続していき、最終的には背景調査についての指針を取りまとめる予定だ。
この検討により、たとえ学校に不都合と思われることであっても、事実を明らかにしようとする姿勢を持つことが最も重要であることなど、委員の意見が一致。全国の教育委員会や学校現場に周知していく必要がある。



【2010年5月15日号】