特集家庭科教育における食の学習−学校栄養職員の関わり−
朝の生活見直しから

 東京・葛飾区立 川端小 ペア組み調理の相互評価

 朝食はなぜ大切なのか。朝の生活全体を見つめる学習から朝ごはんの大切さに気付き、朝食づくりへと発展させた授業「元気!大好き!朝ごはん!!」。
 授業の導入部として、朝起きてから登校するまでの自分の行動をワークシートに記入。自分の生活を振り返り、さらに友人の家庭生活と比較する中から、ほとんどの子ども達がしていること「朝ごはんを食べること」に注目。朝ごはんの秘密をさぐる授業へと展開させた。「たんに朝食を食べるか食べないかというだけではなく、生活全般を振り返る中から朝食の意義を探ることで、子ども達の興味関心も高まります」と同校で家庭科専科を務める谷田部利子教諭は話す。
 朝ごはんについて調べたい内容や調べる方法も自分達で決め、本や資料を使い、また学校栄養職員や養護教諭ら専門家へのインタビューなど個別に実施し、発表を行った。さらに発表を聞いて自分の朝食に生かしていきたいことを考え、大好きな朝ご飯作りに取り組む。
 今回の授業では、ごはんかパンを想定しておかず1品の調理を行った。加工品や野菜を使い、茹でる、炒める料理であれば、ポテトサラダやお浸し、マカロニサラダなど献立は各自自由。
 授業の大きな特徴として、グループでの調理でなく、1人調理が行われた。ペアを組み、1人ずつ調理を行う。調理を行っている際、ペアのもう一人は相手の調理の様子を評価。身じたくから、器具の使い方、盛り付けなど自己評価と相互評価が行われた。「グループで調理を行うと、調理に積極的に関わらない子どもも出てきます。1人調理ですと、必ず自分の力で調理をしなければならなくなります。この1人調理を取り入れることで一人ひとりに力が定着して、調理実習にかかる時間がグンと短縮されました」(谷田部先生)。また互いに評価し合うことで、こまやかな成果が分かり合え、やる気も増したとのこと。
 
学校栄養職員のかかわり
 
 授業では、学校栄養職員や養護教諭が参画したT・Tも多く行われ、また保護者がゲストティーチャーとして顔を出す場面も。とくに学校栄養職員が参画した授業では、食に関する最新のデータや、新たな食の問題点などが提示されることも多く、子ども達の関心が高まったとのこと。「学校栄養職員は、食に関して話す内容に自信があり、説得力があります。また家庭科の視点では思いつかないような新しい切り口の提案などもあり勉強となる部分もありました」と谷田部先生は話す。
 学校栄養職員はゲスト的に迎えるのではなく、あくまでも谷田部先生と一緒に授業を進める立場。2人の掛け合いで進めるための打ち合わせに多くの時間を費やし、授業のねらいや進行など何度もリハーサルを行った上で授業が展開された。




(2002年7月13日号より)