むし歯は2年連続WHO目標クリア

 文部省はさきごろ、「2000年度学校保健統計調査の結果(速報)」を発表したが、1900年度(明治33年度)に全国規模での調査が始まって以来、この100年間で児童・生徒の体格は男女とも大きく向上し、17歳男子の身長は12・9センチ伸び、体重も12・6キロ増加し、同女子も11・1センチ伸び、6・1キロ増えていること、さらにはむし歯が各学校段階で、ぜん息が高校を除く各学校で前年よりも減少していることなどがわかった。これは全国の幼稚園から高校までの9165校が、昨年4月から6月にかけて実施した健康診断の結果をまとめたもの。「発育状態」と「健康状態」の2項目に別れており、調査対象人数はそれぞれ69万5600人、117万9865人となっている。

発育状態
 まず「発育状態」では男子の身長を見ると、12歳と15歳が過去最高でそれぞれ152・9センチ、168・6センチを記録した。この他で前年度よりも平均値がアップしたのは6〜9歳でいずれも0・1センチの伸び。逆に低下したのは5歳110・7センチ、16歳170・1センチ、17歳170・8センチで各0・1センチ減だった。女子の身長では過去最高を記録した年齢はなく、前年よりも伸びているのは7歳121・7センチ、8歳127・5センチ、14歳156・8センチで、0・1センチの増。低くなっているのが12歳152・1センチ、16歳157・7センチで、いずれも0・1センチ減という結果だった。
 一方体重では男子が12歳(45・4キロ)、13歳(50・4キロ)、14歳(55・4キロ)が過去最高を記録。全年齢で昨年を上回っている。また女子については、身長同様に過去最高を記録した年齢はなく、前年を上回ったのは11歳(40・1キロ)と13歳(48・3キロ)だけ。12歳(45・0キロ)、15歳(52・1キロ)、16歳(53・0キロ)では前年を下回っている。
 全体的には身長・体重とも伸びについては、男子は以前と比較してやや鈍化傾向、女子は横這いの状態にあるといえそうだ。
 また100年前の1900年度と比べると11歳男子の身長は17・4センチ伸び、体重は12・4キロ増え、同女子は各19・2センチ、13・1キロ増加。17歳男子は身長が12・9センチ高くなり、体重が12・6キロの増加。同女子はそれぞれ11・1センチ、6・1キロ増えている。

健康状態
 「健康状態」について主な疾病・異常の被患率の推移を見ると、裸眼視力1・0未満の割合は幼稚園が前年度比4・7ポイントも増加して28・7%。小学校が同0・5ポイント減の25・3%、中学校が同0・3ポイント増の50・0%、高校が同0・8ポイント減の62・5%という数字で、幼稚園は過去最高を記録。また中学校が50%第になったのは2年ぶりだった。一方で眼鏡やコンタクトレンズで矯正が必要な0・3未満の者の割合は、幼稚園が0・5%で前年と同率だったが小学校(5・5%)、中学校(21・8%)、高校(34・9%)は最大で0・5ポイント下がっている。
 むし歯(う歯)の被患率については、幼稚園64・4%、小学校77・9%、中学校76・9%、高校85・0%という数字で、いずれも前年より下回った。また世界保健機構(WHO)が2000年における歯科保健目標の一つとして掲げている、「12歳のむし歯3本以下」は2・61本。前年の2・92本よりもさらに改善され、2年連続の目標達成となった。
 2年間にわたって大きく上昇していたぜん息の被患率については、高校の1・3%が同率だった以外、幼稚園が0・2ポイント減の1・3%、小学校が0・1ポイント減の2・5%、中学校が0・2ポイント減の1・8%−−と、減少傾向を見せている。
 その他の「健康状態」については次の通り(かっこ内は前年比)。
 【肥満傾向】=▽幼稚園0・7%(0・1ポイント増)▽小学校2・7%(同率)▽中学校1・7%(同率)▽高校1・5%(0・1ポイント増)
 【たんぱく検出】=▽幼稚園0・4%(0・3ポイント減)▽小学校0・6%(0・1ポイント減)▽中学校2・0%(0・3ポイント減)▽高校1・8%(0・1ポイント減)
 【鼻・副鼻腔(びくう)疾患】=▽幼稚園3・3%(0・4ポイント増)▽小学校11・3%(0・9ポイント増)▽中学校9・4%(0・4ポイント増)▽高校7・1%(0・3ポイント増)

(2001年1月13日号より)