インターネットを利用して、国際交流をいかに実践するか
 国際交流で文化の違いを知り、世界の人々と共生の大切さを知る−−21世紀に求められるのは、国際的視野を持った人材。インターネットは、そのための便利なツールだが、実際には国際交流を実践している学校は少ない。本紙では、コンテストや独自の方法で国際交流を実践している先生方にお集り頂き、「インターネットを利用した国際交流をいかに実践するか」をテーマに、導入の方法や展開していく上での苦労、言葉の壁の克服の方法、生徒の変容などに語って頂いた。

(教育家庭新聞99年5月1日号)
出席者

大阪教育大学助教授(司会)
        田中博之氏

前橋市教育委員会指導主事
        
折田一人氏

愛知県中村高校教諭 
     古井雅子氏

神奈川大学付属中学高等学校
        
菊池 久氏

茨城県鹿嶋市立中野東小学校
 
    山田岳男氏

 

如何に取り組んだか

↓山田岳男先生

 田中 インターネットを使って国際交流をどう進めていったらよいでしょうか。これからはじめる先生方がはじめられやすいような具体的な成功談、失敗談をお話し頂きたいと思いますが、まず簡単に先生方の取り組みをご紹介頂けますか。

 山田 「AT&Tバーチャルクラスルームコンテスト」に参加して2年目になります。1昨年は6年生の担任で社会科と週1回のゆとりの時間を主に利用してイギリスとオーストラリアの小学校とホームページ作りを行いました。しかし、途中でオーストラリアの先生が病気になってしまうというアクシデントもありました。昨年度は、5年生の担任でアメリカとイギリスの小学校と交流しました。第1回に比べ2回目は電子メールによる交流をかなり行い、文化の違い、ファッションの違いなどについて交流することができました。小学生ではどうしても日本国内の学校との交流になりがちですが、海外と交流することで視野が広くなるという効果があったと思います。

 菊池 私は私立の中学高校6か年一貫校に勤務しています。中学を3年間担任して、今年から継続して高校の担任をしています。今高校で海外交流をどう実践するかについていろいろなアイデアを考えています。4年前、中学1年生を受け持ち、担任の先生方と新しい試みをしてみたいと話がまとまり、インターネットを使った国際交流にチャレンジすることになりました。第1回目から昨年で3回目になりますが、「AT&Tバーチャルクラスルーム・コンテスト」に参加しました。他に「Think Quest」にも昨年から参加しました。教科(授業として)の中で参加するという形はとらないで、放課後の活動として希望者を募って参加しました。毎年20〜30人の中学生が入り、週1回コンピュータ教室に集まって活動しました。教師は技術科の教師と英語の教師がチームを組み、教員も生徒も有志で興味のある人が集まってやってくる、といった形です。

 1年目はアメリカ、マレーシアの学校と衣食住に関わる文化的な行事を互いに紹介しようというホームページを作りました。2年目は自国のことを紹介をするホームページだけではおもしろくないので、月をタイトルにしてアメリカとイギリスの子どもたちが月にどういう感想を持つかをまとめました。海外との交流の中ではなかなかみんなが共通して見られるものはないので、現実に見えるものを交流の対象にしました。3年目は、色をタイトルにして各国の好まれる色とか公共物の色とか、生活のなかにある色とその意味を考えて新しい色を作れないかな、という発想で行いました。

 古井 私はインターネットが利用できるようになる前は、生徒の海外文通をすすめていました。文通相手から返事が来ると、「先生、返事が来た」と生徒が喜んで持って来ます。それが電子メールを利用できるようになると、返事のやりとりの時間を大幅に短縮でき、効果を上げらるのではないか、と電子メールの英語教育利用を考えはじめました。
 生徒同士の個人的な交流や、KIDLINKやESPなどの世界的なメーリングリストに入って関心のある先生を募ったり、ネットワークで知り合った先生方と英語の教科書に出て来る内容に関して質問を送ったり、アンケートを送ったり。生徒個人だけの活動でなく、クラス全員で分担して書いたものをクラスとしてまとめ、相手に送る活動もしてきました。また今は、英語部の顧問をしていまして、部活動の中でも実施しています。

 さらに、インターネットの教育利用の研究会である「東海スクールネット研究会」が94年に発足して以来、学校でのインターネットの導入支援と生徒がいかにインターネットを使っていけるのかという視点で、参加者の先生方と共同で海外の先生や生徒と交流後、日本に招待して直接会って交流を深める活動を行っていますが、その企画をしたり、それに参加したりしてきました。ここ数年は東海スクールネット研究会ではアジアの国々との交流を主に行い、最初は電子メールで交流し、メーリングリストを立ち上げ、ホームページにも載せる。その後日本に直接来られる人を招待して、また電子メールで交流するということをしています。実際に会うことで、生徒は交流しようとする意欲が強くなっています。

 折田 今は前橋市教育委員会に席を置いていますが、前任校の前橋市立第四中学校に勤務していた時にいろいろと国際交流の実践を行いました。その1つは文化部の生徒たちが熱心に校内新聞を作っていまして、当時フランスの核実験について問題があり、それを題材にアンケートをとりたいという話になりました。そのアンケートをホームページに載せてみると、海外から1ヶ月で2000回ぐらいのアクセスがあり、そんなことから活動がはじまっていきました。
 姉妹校提携をしている学校との交流ではあまり長続きがしなかったという失敗談やキッズスペースを利用して交流しようとして電子メールを出しても、返事があまりこなかったことなど、相手校探し、言葉の壁という問題がありいろいろと試行錯誤をしてきました。
 また、日本人学校プロジェクトに2年前に参加しスクールニュースプロジェクトとして、月に1回、環境や生活、文化についてのニュースをホームページに載せて、それをもとに交流しています。また、メールやホームページだけでなく、Cu-SeeMeでオーストラリアの学校の日本語クラブとも交流もしました。しかし、通信品質が非常に悪くて音声が聞き取りにくく、うまくいかなかったということもあります。




導入の課題、展開の苦労

↓田中博之先生

田中 ありがとうございます。自己紹介を兼ねて取組みの内容をお話し頂きましたが、私は1つの比喩として、国際交流は朝顔を育てるようなものだな、と思っています。植物の芽の成長のように最初は弱々しいが、だんだん大きくなって花が咲いて実がなって収穫していくのに似ています。いろいろな段階があるわけですが、導入、途中段階でのサポート、そして継続していくためにどんなサポートがいるのでしょうか。さて、はじめの一歩についてはどうなさっていたのですか。

 菊池 最初はバーチャルクラスルームコンテストを利用しましたが、はじめる段階でわれわれ教師が最も悩んだのは何を目的にしたらよいのか、ということでした。正直、何をすれば国際交流といえるのか、については今も悩んでいます。

 田中 やはりそういうコンテストがあると、生徒たちはゴールが見えやすいかもしれないですね。コンテストに参加するのははじめの一歩としてお進めですか。

 菊池 6カ月間のコンテストなので、継続しやすいということがあります。1年間を通してとなると、生徒も教師も負担になるのではないでしょうか。

 田中 まったく知らない学校とホームページ上で出会って交流していくわけですから、途中で止まってしまうこともあるでしょう。そういう時にどうクリアしていきましたか。

 菊池 いろんな壁を克服して行く過程の連続だと思います。バーチャルクラスルームコンテストでは各学校の希望で3校で1つのチームを作るわけですが、導入の段階でネットワークの環境やテーマがなかなか合わなかったりします。ようやくテーマが決定してホームページを共同で作る段になっても連絡がなかなかお互いにつかない、進行状況も違うなどさまざまなことがあります。

 古井 ただ、コンテストで6か月で成果物を出すと決まっていれば途中で消滅してしまうことは、ないのではないですか。

 菊池 うーん、私の学校の経験からいうと、大体3校のうち1校が途中で続けられなくなるというケースが多かったですね。確かに、担当の先生が病気で途中交代されたこともありましたし、長期の休暇をとられて、教師不在になったこともありました。でも、最終的には3校共同で制作したという形にもっていくわけですが・・。
 初年度は、中学1年生だったので、教員が主体になりましたが、2年目以降は教師は前面に出ず、生徒にアカウントを与えてなるべく生徒自身に交流させようとしてきました。

 田中 まずは、教師がそうしたノウハウを体験を通して学んでいくということが大切ですよね。だんだんに教師が後ろに回って生徒を前面に立てる。そういう長期的なビジョンがないと、あまりうまくいかないのではないでしょうか。

 古井 私は教員同士がネットワークなどでどこかで知り合いになってやりたいことが一致するとうまくいくのではないかと思っています。例えば、教育関係の人が参加している世界的なメーリングリストであるKIDLINKとかESPなどに参加して、交流相手を募集している人を見つけるのがやりやすいのではないでしょうか。

 田中 その場合、教師にかなり英語力がないと外国のサイトに飛び込んでいって交流していくのは難しいのではないでしょうか。

 古井 ヨーロッパやアジアなど、英語を母国語としない人が相手の場合、ある程度こちらの意志を伝えられるような英語が書ければ、十分だと思います。




ものや画像を利用する

↓折田一人先生

 折田 失敗談なら限りなくあります。1つは学期が違うということもありますが、インターネットの活用の仕方も日本と米国ではかなり異なる面があります。米国ではネットワーク社会の危険性を踏まえて生徒にアカウントを与えたり生徒個人が電子メールを出すのに、非常に制限をかけているところもあります。
 逆に進みすぎる面もあり、電子メールが来すぎて追いつかなくなることもあります。また、1対1の交流は継続していくのが難しくて、生徒自身のコミュニケーション以上に担当の先生自身の努力も非常に求められる。そういう意味ではプロジェクトに参加した方が、やりやすいのではないでしょうか。
 打開策として、1つはメールとかWebだけにとらわれず物とかビデオの交流が入ってくると活発化していくのではないでしょうか。

 田中 準備期間を置いたり、少しずつ相手校との交流を通じて環境・条件のずれがないかを確認したり、長期的な視野で進めていくことが必要だということが良く分かりました。
 今、折田先生がいわれたことで解決策がでていますが、物や映像を通しての交流が秘訣だと言われれましたが、他に何かアイデアはありませんか。

 菊池 メールでのやりとりは英語を使いますが、英語だけがコミュニケーションの方法ではないと思います。英語が苦手な生徒は関われなくなるので、何かものを媒介にするというのは1つの方法ですね。

 折田 ものの交換ではカード交換はやりやすかったですね。例えばクリスマスカードにしても、ヨーロッパとオーストラリアでは全然違いますから。

 古井 そうですね。日本語でも筆まめな生徒とそうでない生徒といるように、英語になるといっそう文章の書ける生徒と書けない生徒が出てきますし、書く内容もなくなってしまう生徒もいます。結局個人的な文通をクラスの中でするのは、あまり続かないし効果がないようです。自己紹介程度でとどめておいて、クラスで共同で活動するようにした方が良いようです。

 田中 今私がいろいろなプロジェクトを企画していて思うのは、国際交流は2つのあざなえる縄の如し。2つの糸が寄り合った時にうまく成功するのですね。一つはプロジェクト的な、あるいはテーマに即したような情報の交流。もう一つは子どもたちの人間関係で、この2つが重なったときにうまく進んでいく。子どもの人間関係とか、親しみとか実感とか心に係わるような手だてを促進するのには、どんな工夫がありますか。

 菊池 バーチャルクラスルームには4つの部屋が設けられていて、最初に自己紹介の部屋でお互いに紹介し合います。そこに画像も音声も添付することができます。そこで相手の顔が分かるとかっこいいとか、同じ趣味の子どもを見つけると生徒同士で質問をしあったり。ごく身近な話題なり、生徒たちの雑談なり、相手の生徒の興味がわかったりすると交流が発展していくようです。

 山田 そうですね。どの国にもある親子のけんかとか、文化のちょっとした違いなどを題材にするとやりやすい。鹿島神宮の絵を送ってあげたりすると喜ばれました。

 折田 私が一番気を使ったのは、生活習慣や文化の違いです。私自身がそうでしたが、アメリカとかヨーロッパと交流すると妙な劣等感を持ってしまう。反対に、東南アジアと交流したりすると、優越感を持ってしまう。そうなってしまうと、何のために国際交流をしているのか、分からなくなってしまう。国際交流をしていく時に相手国の文化を大切にすることとか、日本から見ると一見不合理に見える生活習慣でも歴史的な背景があることなどを教師がかなり意識して教えてあげないと相手のことをばかにしてしまうことがあります。




言葉の壁と翻訳ソフト

↓菊地久先生

田中 今先生方の話を聞いていますとインターネットを使った交流はまず、メールの交流から始まってカードを送りあったり直接会ったりより広がりのある学習活動に発展していくのが大体の流れであることが分かってきましたが、逆にいうと言葉の限界があるので、ものを送りあったりビデオを送りあったりという補いが必要でした。しかし、そうした限界を少し取り除いてくれるというツールが出てきています。子ども向けの翻訳ソフトなどがそうした限界をとってくれる可能性が増えているわけです。先生方は言葉の壁をどうクリアしようとしましたか。

 山田 自分で英文を作り電子メールを送っても相手に通じないことがありまして、翻訳ソフトの購入を学校や市にお願いしたのですが、予算がなくだめでした。しかたなく、辞書を引いたりして訳したり書いたりしていましたが、どうしても満足できない点がありました。そこで、市内の全中学校に派遣されているAET(英語指導助手)が金曜日の午後時間が空いていることが分かり、月に2回来てもらうことができるようになりました。また、相手校と2週間ぐらい連絡がつかないことがあり、AETに直接電話をかけてもらうと一度で解決できたこともあります。小学校ではAETの力を借りるのも1つの方法ですね。しかし、いつも来てもらうことができないので、そうしたソフトがあれば便利ですね。

 菊池 最初の年は中学1年生だけだったので、どうやって英語を使って交流しようかと思いました。相手校には悪いですが10出して1通じればいいかな、あまりぎすぎすした気持ちでなくて、とにかくそれぞれメールを出してみよう、という感じで始めました。しかしどうしてもボキャブラリが足りませんので、当時無料でネット上で利用できた研究社の和英辞典を開いて、横に置きながら英文を作っていきました。そうやって生徒が英文を作っても、完全な英文が出来上がるわけではないですが、教師が添削するとまるっきり元の英文が変わってしまって、そのことを生徒がとても嫌がりましたので、ちょっと手を加えるぐらいで送りました。生徒の英文をどの程度添削するかという問題もありますね。

 古井 生徒が英語を使ってネイティブスピーカに通じたという喜び、インパクトは非常に大きいですね。しかし、英語を外国語として学習をしている国との交流の方が、生徒は学習者同士という気楽さもあり、まちがいを恐れずに書くことができるという傾向があります。

 折田 フランスの核実験のアンケートの時、1か月に2000のアンケートが来ました。それを1から和訳するのは大変なので、「こりゃ英和」(カテナ)を使って機械的に和訳しました。もちろん完璧な和訳にはならなかったですが、活用はできました。逆に言えば、完璧でなくても活用できるしそこから生徒に学ばせることもできるわけです。

 田中 小学校の場合は、日本語で書かせて翻訳ソフトを使って英語に直して送るという形でしょうし、中学校や高校では簡単な英語を書かせて、反対に翻訳ソフトを使って日本語に直させて理解できれば英語としては正しいという使い方もできるでしょう。
 今後、国際交流が広がっていくと、多分「総合的な学習の時間」で多く展開されるでしょうし、高校の情報科の中でも1つの活動として行われるでしょう。そのときには、英文の書き方について、翻訳ソフトに例文集がついていれば、書き方の練習にも使える可能性も開けてきたのではないでしょうか。

 古井 生徒が英語を作るのに、単語が1つ分からないと辞書を引くのですが、すごく時間をかけて英文を作っているといった状況があるので、辞書を引く時間を省き翻訳ソフトで多量の文章を読み書く訓練をするということも、良いかもしれないですね。

 田中 ビデオ会議で、大阪教育大学附属平野小学校がオーストラリアの学校と交流しています。例えば司会役の子どもたちが議事進行に英語でチャレンジしてみようとした場合、翻訳ソフトで英文にして練習をしておくというように、スピーチの場合でも翻訳ソフトを活用できる。その他の子どもたちも最初は通訳がすべて訳していたが、段々子ども自身がやりたくなって父母に自分の言葉を訳してもらってそれを話すようになっている。翻訳ソフトがあれば、そういう台本もできるでしょう。

 古井 高校生でも、英語のボキャブラリは限られるわけです。そこで学習してきたことをもとにコミュニケーションしようということなら、ある程度できますが、単語を知らないと何も話がはじまらなくなる。
 国際交流といっても自己紹介だけではつまらないので、何を視点にするかといえば世界の共通課題になってくると思います。グローバルエデュケーションといいますが、多文化理解、環境、人権、平和、開発教育−−の5つの項目。その5つの課題について議論をしていく中で自分を知り、相手を知り、共通の課題の解決のために行動するのに、インターネットは良いツールになります。そこで、人権や平和の話題となると学習していない単語もありますので、そうした課題に関しても高校生なり中学生が使いやすい翻訳ツールが普及していったら良いと思います。翻訳ソフト「EtoJSchool」には生徒が使える例文がわりと集められていますね。

 菊池 生徒が英文を作る時に単語も引きますけど、例文のまねもします。そういう点で、例文集も豊富にあるので良いですね。ただ、国際交流ではメールを出すのが遅れてしまってお詫びをしたいときも正直あります。そこで、書きづらいときや困ったときの文例集がもっとあるといいですね。あと、コロケーションのことがわかれば、もっと安心して英文が作れるのではないでしょうか。

 山田 アイコンがもっと大きくなれば、小学校でも使えそうです。




生徒の変容

↓古井雅子先生

 田中 最後に子どもの変容、成果について。国際交流を進めることで子どもたちはどう変わりましたか。

 山田 ものの見方が広がり、外国のことを知ろうとする意欲が高まっています。

 菊池 英語に対するモチベーションだけでなく、いろいろな面への意欲がでてきています。英語でエッセイを書けるような力を身につけた生徒もいます。でも、海外交流で一番良かった点は、交流が他者認識と自己認識につながったことです。海外の同年代の子どもたちと出会って、自分たちには持ち合わせていない考え方を知ることがよくあります。相手を尊重してよく知ることで自分のことがよくわかっていく、これは文化についても同じです。いままで気がつかなかった自分の国の文化を発見することもありました。そしてもう一つ、実践を積み重ねてきたためでしょうか、英文を書くにしても、ホームページに載せるHTML文を書くにしても、教師がいなくてもできるようになりました。

 折田 1つは自信につながったということですね。ごく普通の中学生が世界に向けて自分たちの意見を伝えることにより反響を得ることができた。自分たちで何かできるんだ、という。それから、本当の意味で世界が身近にかんじられるようになった。環境問題1つとっても自分が何をしなければなないか、まで広まったと思います。

 古井 英語教育の面で言えば、学校は車の教習所のようなもので、教室の中をうろうろするだけで路上に出る経験がない。それがインターネットを使うことで実際にどこでも走ろうと思えば走れるようになる。路上に出て走る力をつけられれば卒業してからでも自分で英語を使って交流を継続することができます。
 フィンランドの学校とお互いの国のことが新聞でどのように出ているかを調べて結果を交換するプロジェクトを行ったことがありますが、その交流が終わってからも生徒は関心を持ってフィンランドについて調べたり、大学生になっても自分で電子メールアドレスを取得し交流を続ける生徒もいました。日本で報道の少ない国の人と交流したのですが、そのことがきっかけで、相手の国への興味関心や、コミュニケーションする意欲が広がったと思います。

 田中 2002年から小中学校で「総合的な学習の時間」が始まります。今日のような先生方の豊かなアイデアは総合的な学習の時間でこそ花開くでしょう。もう1つ、国際交流をするということは、日本の学校教育の文化を変えることにつながる。日本の固い学校の文化なり組織の運営なりを変える、あるいは多様な学級経営の仕方を学ぶことにもつながっていくのではないでしょうか。

 これから国際交流をはじめる先生に対しては、結局、はじまりかたは1つに限定しないことだと思います。プロジェクトに参加する、自治体の姉妹校提携を利用する、国際交流をしている大学の先生に紹介してもらう、外国に行った保護者や、AETの出身地の学校とのつながりを利用する。いろいろなアンテナを張っておいて、いろんなチャンネルでできることをすることが一番大切なのではないでしょうか。
 今日はどうもありがとうございました。



学校向け翻訳&英作文支援ソフト「EtoJSchool」

 海外の学校や人と交流するとき、ホームページを閲覧するにも電子メールを読み書くにも、英語だとなかなか取っつきにくいことがある。
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 さらに、単語の意味を詳しく知りたいときや日本語の単語を英単語に直したいときに重宝する、研究社のベストセラー「新英和・和英中辞典」を収録した「英和・和英辞書」、そして文法やレターの書式を確認できる「英作文ヘルプ」もあり、生徒はもちろん、先生にとっても便利な国際交流のための統合ソフトとも言える。
「英語音声読上げ機能」もついていて、どんな英単語、英文も英語の 発音で確認できるので、英語の学習にも適している。
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