●加速化する高等学校の授業改善 (2017年05月11日)
平成26年度に「鳥取県 ICT活用教育推進ビジョン~21世紀にふさわしい学びの創造に向けて~」を策定した鳥取県教育委員会。ICTを活用した教育を推進するにあたり「学び」「教室」「支援」「基盤」の4項目について方向性を示し、取り組んでいる。特に「教室」の項目では「教室内に大画面が表示できる」を最優先事項とし、県立高校などで電子黒板機能付きプロジェクターやタブレット端末の整備と活用を進めている。現状と今後の展望について鳥取県教育委員会とモデル校である鳥取湖陵高等学校に聞いた。
これからの学びを見据えた環境と研修
【鳥取県教育委員会】
県立高校のICT機器の整備を担当している鳥取県教育委員会教育環境課では、ICT活用教育推進ビジョンに沿って、27年度より県立学校の電子黒板機能付きプロジェクターやタブレット端末(各校40台)の整備に着手。効果検証を進め、新たな教室環境の整備推進に努めている。
教育環境課の北村順一課長は「タブレット端末を導入した高校のアンケート結果からも、様々な面で教育効果が高まっていることがわかってきた。電子黒板機能付きプロジェクター(※1)の設置方法(黒板の中央固定もしくはスライドレール式)や、タブレット端末のOS(iOSまたはWindows)など、学校の特色や要望に応じながら、効果的な活用に繋がる教室環境の整備を進めている」と話す。
A・L×ICT研修
高等学校課では、整備されたICT機器をよりよく活用するための研修を企画しており、アクティブ・ラーニング(以下、A・L)やICTを活用した授業デザインを研修に取り入れた「A・L×ICT研修」を行っている。
高等学校課・高校教育企画室の石崎学係長は「以前から専門の知見を持った有識者を大学から招くなど、A・Lに取り組んできた。電子黒板機能付きプロジェクターやタブレット端末の整備に合わせてA・L×ICT研修を実施しており、リーダー役となる先生を増やしている。同時に各校への講師派遣も行い、ICTを活用したA・Lを広げているところだ。良い事例を共有し、授業のヒントを得てもらう取組も進めていきたい」と話す。
モデル校 鳥取湖陵高等学校
iPad80台活用
モデル校として取り組んでいる県立鳥取湖陵高等学校では、様々な効果が表れている。
同校では27年度に各教室に電子黒板機能付きプロジェクターが整備され、県内唯一となる情報科学科も含めて80台のiPadを導入している。
この日の授業では、プロジェクターで写真資料を提示し、電子黒板機能を活用して思考のポイントを示していた。
各グループに1台配布されたiPadに生徒が意見を書き込むと、教員のiPadに集約され、すぐにプロジェクターで投写される。
多様な意見を全体で共有することで、多くの生徒が積極的に発言し、対話する様子が見られた。
國岡進教頭は「これまでの授業スタイルの場合では集中が続きにくい生徒もいた。新たな教育環境が整備された後は、生徒が主体的に考え、発表する授業が増えた。その結果、生徒の顔が上がり、瞳が輝き、授業への参加意識が高まった。iPadを活用すると、生徒が積極的になり、対話も増えている。もう過去の環境には戻れない」と語る。
職員会議も
iPadで
また「学校が一体となって取り組むために、職員会議の資料をiPadで閲覧するなど、全教員が日常的に活用できるように工夫した。操作に慣れると、自主的な教材研究や授業改善に励む教員が増えた。ICTを活用する場面を適切に選択することで、生徒の関心・意欲や知識・理解の向上と、思考力の育成にも効果が期待できる」と話す。
ICTを含む教室環境の整備・研修・活用の相乗効果により、授業改善が加速している。※所属・役職等は取材時(平成29年3月)。
(※1)電子黒板機能付きプロジェクター:EPSON、取付金具及びスライドレール:青井黒板製作所「AOI-SPCMシリーズ」
◆…*…◆…*…◆
青 井 黒 板 製 作 所
同社のEDIXブースでは、今回の事例で採用されている電子黒板機能付きプロジェクターやスライドレールを展示。投写に最適な様々なタイプのホワイトボードなど、これからの教室環境を提案する。日替わりのゲスト講師によるセミナーも予定している。
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投稿者 kksblog : 2017年05月11日 13:32