●「小学校英語教育に関する調査研究報告書」~国立教育政策研究所 (2017年04月19日)
国立教育政策研究所が、『小学校英語教育に関する調査研究報告書』を公表しました。
今後の学習指導要領等の改訂の方向性として、外国語活動の実施学年の早期化や、高学年の外国語活動の教科化について検討されることになっています。そこで、中央教育審議会での審議も踏まえつつ、教育課程特例校・研究開発学校の先進的な取組の状況を把握分析しました。また、国内の先進的な教育委員会の取組や、学校の取組を実際に調査し、同時に諸外国の取組事例について調査を行いました。
高学年に外国語活動が導入され、本学習指導要領全面実施となった平成23年度から、今年度でちょうど6年が経過しました。児童の学習意欲面で大きな成果を挙げるとともに、課題もみえてきています。「外国語への慣れ親しみ」「コミュニケーションへの積極性」に成果が上がっているとこ、一方で既に1割程度の児童が英語や外国語活動の授業に苦手意識を持っていること、小学校の外国語活動において音声中心で学んだことが中学校でうまく生かされていな
いということなどが挙げられました。
児童に授業の好き嫌いを調査したところ、「好き」と答えた児童の割合は、学年が上がるにつれて低くなっています。一方で「外国人に話しかけられたら,英語で受け答えする」と答えた児童半数を超えており、児童の英語を使ったコミュニケーションへの意欲が育っているといえます。
英語教育における人材については、専科指導教員とそのほかの教員を比べると、英語の教員免許を有している割合は23%と7%であり、英語の教員免許を有している小学校教員が増えることで、より質の高い英語教育と柔軟な人材配置ができることが示唆されます。授業については、「読む」「書く」力を目標に含めている学校については30%未満であり、そこから授業時間数を多くする必要があると示唆されます。
諸外国(地域)の小学校英語教育の実施状況をみると、1990年頃から外国語教育、特に英語教育を重視し始めており、日本より5~10年先行していると考えられます。1990年以降に小学校英語教育を導入した国々では、日本と同様に教員養成・研修にはかなり苦労していることが見受けられます。
小学校の外国語活動は、「外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しむ」ことが目標。みえてきた課題に取り組み、諸外国に劣らず質の高い外国語活動が実施されることが望まれます。
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投稿者 kksblog : 2017年04月19日 21:17