●スマホがそばに置いてあるだけで注意を損なうことを立証~北海道大学 (2017年01月12日)
北海道大学が、携帯電話が単に置いてあることが空間的視覚探索に及ぼす影響についての研究結果を発表しました。
携帯電話やスマートフォンを使いながら他のことをすると、見落としや判断に遅れが出ることはよく知られていますが,使用せずにそばに置いているとき、注意の広がりに与える影響は不明であったことから、こうした携帯端末そのものが注意に及ぼす効果を測定。その結果、画面を消した他人の携帯電話であっても、ただそばに置いてあるだけで注意が損なわれることがわかりました。
実験は、参加者をスマホ条件と統制条件の2グループにランダムに割り振り、検証。スマホ条件では、PCモニタの脇に実験者のスマホを置き、実験参加者にモニタ上の多数の文字の中から標的文字を探すよう求め、探索にかかった時間を計測しました。統制条件では、スマホの代わりに同サイズのメモ帳を置き、同様の実験を行いました。その後、全参加者に対して普段のスマホ使用頻度や愛着について質問しました。
実験結果では、標的を探すまでに要した時間は、統制条件よりスマホ条件で長くかかりました。単にスマホが置いてあるだけで自動的に注意が向いてしまい、課題成績が悪くなったと考えられます。しかし、この効果は使用頻度が低い人に強く起こり、スマホを普段からよく使用する人はかえってスマホの置かれた側の標的に気づきやすいこともわかりました。つまり、スマホの存在を無視したり注意する機能に個人差があることがわかりました。
画面を消した他人の携帯電話であっても、ただそばに置いてあるだけで注意が損なわれること、普段は携帯電話を使わない人ほどこの影響が強い傾向であること、こうした効果が起こるのは、2つの原因が考えられます。1つは携帯電話が置いてあるだけでも注意を自動的に引きつけること、もう一つはそのような注意の引きつけと、それを無視しようとする働きに個人差があることです。これらの2つの要因が合わさって、携帯端末が置いてあるだけで注意の広がりに偏りが生じ、身の回りに注意を向ける行動が阻害されると考えられます。
スマホの操作に夢中になっていることで他の物事へ注意が行き届かず、事故が多発している問題をはじめ、メールの返事が来ないか、SNSの通知が来ないかなど、使用していなくても携帯端末に注意を向けていることは、日常生活によくみられる光景です。単に置いてあることでさえも発生する影響を考え、本来向けるべき場所への注意が阻害させることのないように利用を考えていくことが大切ですね。
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投稿者 kksblog : 2017年01月12日 19:08