●「子どもの貧困の社会的損失推計」レポートを公開~日本財団 (2016年01月13日)
日本財団が、「子どもの貧困の社会的損失推計」レポートを公開しました。
この推計は、深刻化する子どもの貧困を経済的視点から捉えるため、子どもの貧困の放置による経済的影響の推計を行ったものです。推計の結果、現在15歳の子ども1学年だけでも、社会が被る経済的損失は約2.9兆円に達し、政府の財政負担は1.1兆円増加することが明らかになりました。
進学や進路に差が出る中学卒業時を推計の起点とし、現在15歳の子どもを推計対象に。なお、今回の推計では、「子ども期の経済状態別の進学率・就労環境の違いが残る状況」を「子どもの貧困の放置」と定義し、生活保護世帯、児童養護施設、ひとり親家庭、それぞれの子どもを、子どもの貧困数と定義します。
貧困世帯とそうではない世帯では、進学状況が異なり、それが「子どもの貧困の放置」に。子どもの貧困を放置すると、将来における賃金水準が低くなり、マクロ全体での所得が減少すると共に、政府からみると税・社会保険料収入が減少します。また、生活保護費などの社会保障給付が増加することになります。
子どもの貧困対策によって便益が生じます。第一が貧困の世代間連鎖を断ち切る効果です。子どもの貧困の解消により、将来の大人の貧困を解消することが期待されますが、その結果、出生率等にプラスの影響が及ぶ可能性や、さらに、将来の子どもの貧困が減少する可能性があります。第二が健康状態の改善効果。健康状態が改善すれば、就業できる期間や寿命が伸びることが期待でき、また、健康状態の改善はクオリティ・オブ・ライフの改善につながるため、子どもの貧困対策の効果はより大きな値になると期待されます。第三が犯罪減少の効果。貧困に起因する犯罪の社会的なコストはGDPの1.3%とも試算されており、決して小さくはありません。
子どもの貧困対策が日本でも徐々に動き始めています。子どもたちが生まれた家庭環境によって将来が左右されないようにしていきたいですね。
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投稿者 kksblog : 2016年01月13日 23:49